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11
応用自然科学科 / 応用物理学専攻 「フェムト秒レーザー加工装置・分光装置」
応用理工学科 / 機械システム工学専攻 「赤外線サーモグラフィ」
地球総合工学科 / 建築工学専攻 「建築構造物の振動制御実験室」

 
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レーザー光&顕微鏡で、新発見・新技術が続々誕生。
有機物質にレーザー光をあてて起こる新しい物理化学現象、それに顕微鏡を組み合わせることで、とても面白いことができる。ひとつは、切ったり穴を開けたりする加工、もうひとつは集めた光でモノをつかまえることだ。注目のナノレベルで、こうしたユニークな研究を行っているのが増原研究室である。

まずは、加工の研究から紹介しよう。
レーザー光を使った微細加工は今や産業界では当たり前になっていて、携帯電話のダイヤルボタンの数字などもレーザー光で彫られる場合が多い。ただし現在の研究の主流は、鉄やシリコンなどのハードマテリアル。
<写真>朝日剛助教授
一方、増原研究室では、動物の皮膚や紙などの柔らかな有機物質の加工に取り組んでいる。フェムト秒と呼ばれる非常に時間幅の短いレーザー光と顕微鏡を組み合わせた実験装置をつくり、この未知の分野でどんな加工ができるかの研究を重ねている。


<写真>フェトム秒レーザー加工装置・分光装置
「学生たちの日々の研究の中で、思わぬ発見が出てきています」と言うのは朝日剛助教授。例えば、レーザー光を一発当てるだけで、薄膜の表面に階段状の穴が開くことを学生が発見した。「最初は穴が空いてない、失敗かと思った。しかしよく見ると、階段状に穴が空いていて驚いた」と朝日助教授。こうした新発見から、これまでにない新しい応用技術の誕生が期待される。

また、穴あけ加工にとどまらず、レーザー光で固体を粉砕することで有機物のナノ粒子をつくる研究も行っている。実験前は柔らかい有機物質を細かくすることで分子を壊してしまわないかと心配されたが、実際には、分子を壊さずナノ粒子をとることに成功。「これは意外でした。やってみて初めて見えてきたことです」と朝日助教授は語る。

次に、光でモノをつかまえる研究について紹介しよう。
顕微鏡対物レンズを使ってレーザー光を急峻に絞り込むと、普段は小さすぎて体感することのない光の力で、微粒子を集光位置にとらえることができる。
この現象を利用して微粒子をつかまえ、集め、並べる技術がレーザーマニピュレーションと呼ばれている。増原研究室では、より小さなナノ微粒子や高分子を操作する技術を確立しようと研究中だ。例えば、タンパク質結晶を基板に並べて新しいプロテインチップを開発する、あるいは生きている細胞に光で刺激を当てて、どんな動きをしているかを見ていくなど、バイオ応用をターゲットにした研究も進めている。

これらの研究の基礎になるのが分光学。光を通してモノの性質を診る学問領域で、ナノレベルにまで粒子を小さくした時に、粒子を構成している原子や分子がどんな動きをするかなど、光で形が観えないものでもその仕組みや性質を調べることができる。確かな理論に基づいた最新のテクノロジーで、増原研究室のユニークな取り組みが続いている。



<写真> フェムト秒レーザー光で薄膜表面に掘った階段状の穴とその断面形状
 

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宇宙開発事業団との共同開発で、最新の非破壊検査法を研究中。
<写真>コンクリート検査診断中の阪上隆英助教授
わずかなキズやひび割れの存在も許されないロケット。そのため、見えない部分の損傷や欠陥を調べるために、綿密な非破壊検査が行われる。現在は超音波を使っての検査が主流だが、巨大なロケットの1点1点に超音波を当てていかなくてはならず、手間がかかる。そこで阪上隆英助教授らが赤外線を使った新しい非破壊検査方法を開発中だ。

赤外線カメラで撮った画像から、構造物表面の欠陥を見つけだす検査方法で、ロケットはもちろん、トンネルなどの大きな構造物の非破壊検査に適している。強力なフラッシュランプを使って瞬間的に検査物に熱を与え、その情報を赤外線カメラでとらえてコンピューター画面に画像表示する。すなわち、強力な熱があたった検査物の表面は、瞬間的に温度が上がるが、内部に欠陥があるとその状態によって温度変化が起きる。その画像データを数値化していくことで欠陥の大きさや深さまでを測定できる、というもの。この数値化する部分に阪上助教授らの力量が発揮されている。

 現在、宇宙開発事業団との共同開発で、実際にH-IIAロケットの検査から次世代宇宙構造物の材料検査の研究を進めている。阪上助教授は「この検査方法は、特に材料の表層部を調べるのに適しています。一方、超音波は深い部分の検査に向いているため、赤外線による検査と組み合わせることで、より精度の高い検査の実現が期待されています」と語る。

宇宙開発事業団との共同開発のほかに、高速道路や新幹線の高架橋やトンネルのコンクリート片の剥落を防ぐための検査などにも、阪上助教授自らが赤外線カメラを携えて参加している。

1980年代に研究を始めた阪上助教授だが、当時はこうした検査方法は日本では希少で、装置も入手不可能だった。しかし1995年に航空宇宙産業の本場・アメリカから最新カメラを導入し、本格的研究を開始した。いわば赤外線による非破壊検査の日本の先駆的存在である。

「非破壊検査は地味な分野ですが、社会のインフラとなる構造物を安全に管理するためにとても重要です」と阪上助教授は言う。

 面白いことに、この検査方法を使えば、人間の歯の初期虫歯の発見まで可能になる。見た目だけでは判断が難しい初期虫歯。これを発見して治療するには、どの歯で何が起こっているか、を把握しなければならない。そこでこの検査方法を使うと、治療に必要な情報の詳細がつかめる、というわけだ。まだ実用化までには更なる研究と時間が必要だが、新しい検査方法として期待が寄せられている。虫歯1本からロケットまで。とてもポテンシャルの高い検査方法だ。
<写真>赤外線サーモグラフィ <写真>赤外線サーモグラフィによる
宇宙構造物の画像
 
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地震の揺れを再現し、耐震・制震技術の開発につなげる。
 地震大国、日本。そのため、地震による建物倒壊などの被害を最小限にくい止める様々な研究が行われている。大阪大学・工学部でも、今春に新しく「建築構造物の振動制御実験室」を設置し、最先端の研究を行っている。

 地震による建物の被害は、実は地震の大きさだけでなく、建物の性質や地盤、地震波形の特徴など様々な要因が複雑に影響しあってくる。だからこそ建物の耐震安全性の研究はもちろん、建物の揺れを緩和する免震構造や、建物の揺れを抑制する制震構造などの研究も重要だ。そこで力を発揮するのが、この「建築構造物の振動制御実験室」である。

室内には、「動電式2軸同時制御型振動台」を中心に備えており、上下水平に動くこの振動台で地震の波形を再現する。振動台のテーブルの上には建物などの模型を置き、地震が起きたときに模型がどう揺れるかを計測していく。同時に、どんな装置を模型につければ揺れにくくなるかを実験するなど、制震と免震についても研究ができる。
<写真>向井洋一講師
「振動実験施設で世界最大級のものは日本にありますが、それらと比べれば、うちの装置はずっと小型です。但し、高性能でメンテナンスフリーなので研究・教育用としての小回りがききます」と向井洋一講師。実験室自体は乗用車2台が入るくらいの広さ、振動台そのものも確かにコンパクトで、振動台を動かす制御装置も非常にシンプルに思える。しかし、実験室の地下は2メートルにわたって掘り下げられ、そこに約30トンものコンクリートが敷き詰められていると言う。

「反力をとる部分が安定していないと、波形の再現性が悪くなり、信頼性の高いデータがとれませんから」と向井講師は解説する。

 超高層ビルの場合、地震はもちろん風による揺れも考慮しなければならず、ビル建設にあたっては、高度な制震、免震の技術が投入される。例えばビルの屋上にヘリポートを設け、それを振り子として利用して制震するなど、その方法は様々だ。また、高い耐震性能の要求は高層ビルに限られたものでなく、住宅など既存の中低層建築物の耐震補強技術開発にも社会的なニーズが高まってきている。

「耐震診断をした場合、大きな地震に耐えられない可能性のある住宅もあります。私たちは、住宅レベルでの耐震補強もにらんだ、効率的でTPOに対応できる技術開発をしていきたいと思っています」と向井講師。そのためにも新しい実験装置が力を発揮してくれるだろう。


<写真>建築構造物模型


<写真>建築構造物の振動制御実験室
 
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