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HOME > 研究 > 研究紹介 > 生命先端工学専攻|菊地和也教授
生命先端工学専攻「化学のアイデアを基に生命科学研究を発展」
タンパク質や酵素に反応して光る分子をデザイン 生体内の見えないものを見えるようにする 生命先端工学専攻 菊地 和也 教授

化学を用いた生物学研究「ケミカルバイオロジー」

「化学で生命科学をやるから面白いんですよ。これからの分野ですからね」と語る菊地教授は、化学と生物学が融合したケミカルバイオロジー分野の開拓者。病気の原因を明らかにしたり、新たな治療方法を探る研究に役立つ“道具”を、“化学”の力で創りだそうとしている。その道具とは「プローブ分子」と呼ばれる新たな物質。

分子をデザインし、有機合成することで創生され、標的となるタンパク質や酵素、遺伝子に反応して光ったり、コントラストを変えたりすることで、標的そのもの、あるいはその機能を可視化する。「生体内の分子の情報を光の情報に置き換える。そうすることで見えないものが見えるようになるんです」。根底にあるのは、人に役立つ研究がしたいという純粋な思い。命や健康に係わる生命科学の世界に、得意とする化学の発想と技術でアプローチする。

赤と緑に光っているのは、実は同じタンパク質。細胞膜と細胞質に発現した同じタンパク質を場所の違いによって色分けする技術を菊地研究室が開発。病気の原因を解明する研究への利用が期待される。
生きたままの生体分子を可視化する

がんを治したい。認知症にならないようにしたい。あるいは歳をとっても元気でいたい。難病を克服したい。──人類共通の願望だ。しかし、それを実現するためには、まずは病気の原因となる身体の仕組みから研究しなければならない。タンパク質や酵素などの分子レベル、遺伝子レベルで、その機能や相互作用を解明するのだ。ただし、これまでの研究では、細胞をすりつぶすなどして生体分子を調べていたため、得られる情報には限りがあった。

そこで菊地教授は、細胞が生きたまま生体分子の機能を調べることができれば、より多くのリアルな情報が得られると考え、細胞内分子と特異的に反応して可視化することができる「プローブ分子」の研究をスタートさせた。菊地教授が大学院博士過程に在籍していた頃で、今から20年ほど前だ。そして現在、研究成果やノウハウが蓄積され、動物体内で起こる酵素反応を生きたままMRIによって可視化する技術の開発や、タンパク質の動態の詳細な時空間解析を行うための蛍光ラベル化法などの開発を進めている。

ノーベル賞も遠い世界のことではない

「タンパク質」「蛍光」という言葉を聞いて、ピンときた賢明な読者もいるだろう。そう、2008年のノーベル化学賞の受賞対象となった緑色に光る蛍光タンパク質「GFP」も、「光らせる」という点では共通だ。しかし、蛍光タンパク質は、その名の通り、タンパク質そのものが蛍光を発するために標的につなぐことが必要で、また、厚みのある組織では蛍光を観測できないなどの弱点を持っている。対して、標的に合わせてデザインする「プローブ分子」は応用範囲が広く、何よりも、生きた細胞や生体での観測を可能にする点で利用価値が高い。菊地教授は、自身の経験からもその点に確信を持っている。

試験管の中だけでなく、生きた細胞の中、そして生体内でしっかり反応するプローブ分子を実現するため、あらゆる角度からの解析が繰り返される。

「実は、私はGFPでノーベル賞を受賞したロジャー・チェン教授の研究室に留学し、まさにGFPを開発する様子を間近で見ていたんです。見えないものを見えるようにする技術がいかに待ち望まれているか。そして、この分野はまだまだ手つかずの状態であり、アイデアさえよければ世界をリードできるんだということを学んだんです」。

 

世の中で本当に使えるものを創りだす

菊地教授が研究室のメンバーに繰り返し投げかける言葉がある。「試験管の中で光っただけでは意味がない。細胞の中、生体の中でその分子は狙い通りに光るのか」。試験管の中で光らせるだけなら簡単だと菊地教授は言う。しかし、生きた細胞のメカニズムは複雑で、様々な要因が影響するため、途端に条件が厳しくなる。「ひ弱な分子ではダメ。どんな環境でも力強く反応する堅牢さを兼ね備えた分子でなければ」。だからこそ、自分がつくった愛着のある分子を細胞に入れて応答したとき、大いに興奮するのだという。

「その瞬間があるからモチベーションが続くんです(笑)。そして、自分がつくったものに初めて意味が出るんです」。世の中で本当に使えるものを、自らのアイデアを形にする中で創りだせるのが工学の魅力。とりわけ、ケミカルバイオロジーには可能性が満ちている。

Er(ユーロピウム)を添加した GaN(窒化ガリウム)を発光層に用いた世界初の「赤色LED」。この発明により、同一材料による光の3原色発光が揃うことになり、半導体微細加工技術を生かした高精細LEDディスプレイやLED照明などへの応用が期待される。

菊地 和也 教授 生命先端工学専攻

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