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機械工学専攻「マイクロマシンを実現するナノ・マイクロスケールの材料強度学を構築」
ナノ・マイクロスケールの材料強度学は未知の世界 その力学的振る舞いは、まだ誰も解き明かしていない 機械工学専攻 箕島 弘二 教授

変形と破壊の力学が安心・安全な社会を支える

2011年秋、最新鋭ジェット旅客機B787が、世界に先駆けて日本に就航する。このB787の主翼や胴体などには、日本が誇る材料、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)が採用され、燃費向上につながる機体の軽量化に成功している。

しかし、これだけ多くのCFRPが大型旅客機の重要部分に使われるのは初めてのこと。機体の設計者は(素材メーカーの技術者も)、安全性をいかに確保するか、大いに悩んだはずである。主翼の強度をどう見積もればいいのか。一時的な負荷、連続的な負荷、部分的な負荷、様々な方向からの負荷、環境負荷、さらにはメンテナンス時にメカニックがドライバーを誤って落とすことまで考慮しなければならない。必要なのは材料力学や材料強度学。つまり、変形と破壊の力学だ。

CFRPは5〜7ミクロンの炭素繊維のまわりを樹脂で固めた複合材料。炭素繊維と樹脂の界面(接合面)があるため、高度な材料強度学を要する。計算とシミュレーションと解析を行い、ミクロンオーダーで精密に制御しなければならない。

「箕島・平方研究室」は、多くの実験設備があり、あちこちにオリジナルの試験装置も置かれている。ナノ・マイクロスケールの材料強度学は始まったばかりの未知の世界。試験片の作製から試験方法の開発、試験装置の製作まで自分たちでやるしかないからだ。。

全てのモノは壊れる。壊れないモノなんてない

航空機はほんの一例だが、世の中には、自動車からロケットまで様々な乗り物があり、発電所や各種プラント、あるいは機械や電化製品があふれ、その全てに対し、私たち人間は、「壊れてはいけない」「壊れるような材料を使ってはいけない」と思っている。

しかし、材料力学を幅広く追究してきた箕島教授は言う。「全てのモノは壊れる。壊れないモノなんてない」。そのモノは、どういう条件でどう壊れるのか、その限界を知るのが材料強度学や破壊力学であり、それなくして、安心、安全な社会は実現しないのだ。だから、破壊力学をやっている人間は、ときに「壊し屋」と呼ばれる。壊さないと限界がわからないからだ。材料強度学、破壊力学は全ての技術分野、モノづくりを支える普遍の知識でありセンス。「例えば材料強度学を知っている技術者とそうでない技術者が、同じモノを設計したとする。どちらが耐久性、安全性に優れたモノになるか、答はわかりますよね」。

自立ナノ薄膜のクリープおよび疲労特性の試験。ナノ薄膜のクリープや疲労による変形や強度を解明することを目的として、自立ナノ薄膜に対するクリープ試験法および疲労試験法を確立している。
誰も考えていなかったマイクロマテリアルの強度学

少し長くなったが、実はここまでがプロローグ。材料強度学がいかに重要であり、工学の全てに必要な学問領域であるか、イメージしていただけただろうか。では、その研究の先端にいる箕島教授の研究室では、今、何をテーマにしているのか。マイクロマシンやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれる微小デバイスの作製に使われる「マイクロマテリアル」の材料強度学である。

MEMSは現在、携帯電話やカーナビに使われる加速度センサーやジャイロスコープをはじめ、インクジェットプリンターのヘッド、プロジェクターの表示素子などいくつか実用化されているが、本格的な発展はこれからの世界。そして、これまではMEMSをどうやってつくるかに研究の力点が置かれてきたため、材料強度の研究が立ち遅れているのが現状なのだ。

世の中にないから試験片も実験装置も自分たちでつくる

しかし、マイクロマテリアルの世界は、これまでの材料強度学の蓄積がそのまま通用しない未知の世界。「ナノ・マイクロスケールの材料は、原子空孔や転位、結晶粒界、異材界面、自由表面といった欠陥や内部構造が自己主張し、それらが変形や強度に大きく影響を及ぼします。例えば、表面の酸化膜が大きく影響することも考えられる。このため、ナノ・マイクロ材料には従来の力学則が成立するのか、あるいはそれが破綻する場合には、変形や強度をどのように考えればよいのか、まだ明らかになっていません」。

現在、研究室では、薄膜や細線などのナノ・マイクロ材料に対する信頼できる機械的特性・強度実験方法を開発している。これまでなかった分野だから、実験方法も確立していない。実験に使う試験片も存在しないため、材料作製から始めなければならないのだ。しかし、逆に言えば、そこが箕島教授率いる当研究室の強み。試験片の作製から試験装置・試験方法の開発、評価実験と観察、それに基づく力学解析にわたる一貫した研究を行い、ナノ・マイクロ材料がどのような力学的振る舞いをするのかを解き明かす。歴史ある学問なのに、まったく新しい学問でもあるマイクロマテリアル工学。参加するなら今だ。

破壊力学は全てのモノづくりの基盤だが、研究室では、ハカイばかりしているわけではない。壊れる現象を応用してモノづくりができないか。そんな発想で、フレキシブルナノ薄膜の創生にも取り組む。周期的な微小座屈(リンクル)構造によって高い変形裕度を有するナノ薄膜が既に開発されている。

箕島 弘二 教授 機械工学専攻

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