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地球総合工学科【地球総合工学専攻】「フィールドワークによる建築・都市デザインの再考」
日本初のニュータウンをフィールドに生活者の視点から都市の組み替えを研究 地球総合工学科/地球総合工学専攻 鈴木 毅 准教授・松原 茂樹 助教

つくる都市計画から今ある財産を活かす都市計画へ

拡大型社会から持続型社会へ。日本は今、少子高齢化社会を迎え、さまざまな分野で岐路に立っている。都市空間も例外ではない。高度経済成長期に整備された住宅やまちが更新の時期を迎え、その方向や方策が模索されている。

建築・都市デザインを研究する鈴木毅准教授と松原茂樹助教は「時代が大きく変わった」と口を揃える。そして強調する。

「当時は“足りない”時代だったから、住宅も学校も公共施設もつくればよかった。しかし、これからは人口が減っていく時代。古くなったから建て替えるのではなく、そこに暮らす人たちの価値観や希望を尊重し、今ある財産(建築物やインフラや人的資源)を活かしながら、まちの環境や社会をいかに組み替えていくか。机上の空論ではない、生活者の視点に立った提案が求められています」(松原助教)。

 

目的のないスペースから目的が生まれるという事実

生活者の視点を、フィールドワークを通して学生のうちから体験的に身につけられるのも、大阪大学で建築・都市デザインを学ぶメリットだ。

阪大吹田キャンパスのある千里丘陵地には、日本で最初の大規模ニュータウンである千里ニュータウンがある。もうすぐ、まちびらき50年。建て替え事業が進むまちの中に飛び込めば、歴史を築いてきた人たちの本音や息づかい、そして建築計画の課題やヒントが見えてくる。その中で、建築計画の専門家を驚かせ、大きな気付きをもたらした事例が「ひがしまち街角広場」という、住民ボランティアによって運営されるパブリックオープンスペースだ。

「誰でも、いつでも、ふらっと立ち寄れて、お茶を飲み世間話ができるというだけの、特に何かの目的を持った施設ではないのですが、ここから様々な地域活動が自然に生まれ、人々の結びつきが広がっているんです。そんな場所があることに感動しました」(鈴木准教授)。

ニュータウンに最初から住む人が「こんな場所がずっとほしかった」と言って実現した街角広場。これまでの建築計画は管理者(自治体や公的組織)の目線でつくられていたため、目的を持ったグループが予約して使う集会所はあっても、このような無目的の自由な場所はなく、そんな概念すらなかったのだ。

住民ボランティアによって運営される「ひがしまち街角広場」。誰もがふらっと立ち寄れる特に目的のない場が、近隣の人を引き寄せ、地域活動の母体になっている。

人間同士のつながりが求められる時代に

“生きた教材”とも言えるこの街角広場に、学生や院生も足を運び、住民とお茶を飲みながら、ときにはニュータウンの歴史を掘り起こし、ときには一緒に地域活動に取り組みながら、パブリックな場での「人の居方」を学んでいる。居方とは、その場所に人がどう居られるか、リアルな場面の状態のことを指す。

「これまではプライバシーを過度に重視し、建物もまちの構造も人々がバラバラになる方向に向かっていました。しかし、阪神大震災やテロ事件を経験し、そのベクトルが人間同士のつながりを求める方向に転換してきていることは明らかです」(鈴木准教授)。

だからこそ、パブリックな場に着目することに意味がある。都市や建築の専門家が人々が憩う様子をパース(予想図)に描いても、それは絵に描いた餅になる。リアルワールドでは、最初に目的があるのではなく、人が集まり暮らす中で、目的が発見されることが自然だからだ。

 

住民の生の声を聞き、一緒に考え、行動する

もうひとつ、建て替え事業によって生まれた地域交流室の活用を考える「佐竹台スマイルプロジェクト」にも研究室として参加。自治会メンバー、住民有志と膝を突きあわせながら、世代を超えた住民の交流やまちの継承のあり方を考え、様々なイベントやワークショップを実験的に行っている。

「小さな子どもと母親が行く場所がなくて煮詰まっている」「住民同士が気軽に情報交換できる場がない」など、生の声を聞きながら住民と一緒に解決の道を探ることで、新たな都市計画論の端緒も見えてくる。

プロジェクトを起ち上げた住民のひとりで主婦の水木千代美さんも「住民同士で話し合っても具体的な計画に持っていくのは難しい。そこに専門知識を持った大阪大学の先生や学生に入っていただくことで住民の思いが形になり、前に進むことができる」と、研究室のこうした活動に期待を寄せてくれている。キャンパスを飛び出し、住民と関わることがますます重要になることは間違いない。

必要な条件は全部揃えて完成したはずのニュータウンだったが、時を経て、抜けていたものがあったことも見えてきた。

そこで暮らす人たちが発する生の声を聞くことで学生たちの発想や着眼点も変わってくる。

鈴木 毅 准教授(左)松原 茂樹 助教(右)地球総合工学科 建築工学科目 地球総合工学専攻

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