くつろいだり、学んだり、仕事をしたり。私たちの暮らしは、いろいろな建物に支えられているよね。
その建物を作るために必要な学問が建築工学。人々の生活や安全、街の環境に影響を与える大きなモノづくりだけに、学ぶことも多いんじゃないかな。

建築は、人々の生活に密着した存在であり、経済活動を支える基盤であり、安全や安心を確保するためのバリアーにもなっています。また、機能的で優れたデザインの建物は、街の雰囲気やイメージまで変えてしまうインパクトを持っています。それだけに、建築に携わる者の社会的な責任は大きく、だからこそやりがいも大きいといえるでしょう。

また、全ての仕事が"一品もの"で、次々に生まれる新しいアイデアや技術で、人々が驚くような斬新な建築物に挑戦できるのも建築ならではの魅力です。
もうひとつの建築の側面は、多くの学問が結集した総合工学だということです。建築の仕事というと「建築家」を思い描く方が多いと思いますが、それは〈計画・意匠〉を専門とする仕事。他にも建物の強度や耐震性を担う〈力学・構造〉、快適で便利な空間を作る〈環境・設備〉などの分野があり、どれが欠けてもいい建物はできません。
大阪大学工学部地球総合工学科の建築工学科目は、これら建築に関わる全ての学問を学ぶことができるのが大きな特徴で、その学びの中で自分の適性にあった専門分野を見つけ、探求していくことが可能です。


「南海トラフ巨大地震」などの発生が予測されています。建築に携わる研究者の使命は何でしょうか。そう、地震に強い建物や街を実現することです。宮本研究室がテーマとする「建築地震地盤学」は、まさに地震と建築の科学。
従来の想定を超えた地震災害を念頭に、新たな建築構造を研究しています。
もちろん、地震の揺れに対する建物の耐震性向上をめざしていますが、同時に不可欠な研究があります。

地震そのものを知ることです。揺れの大きさや周期、伝わり方、地盤によって建物への影響がどう変わるのか。
それらの特徴を過去のデータから導き出し、予測される地震のシミュレーションを行うことで、確かな対策を講じることができ、安全性を高められるのです。
今日見てもらった地震動のシミュレーション(写真左)も、模型を使った杭の加振実験(写真右)も、将来発生する地震の揺れに耐えうる安全な建物を設計するために必要な研究です。


いい建物の条件とは何でしょうか。地震に強いことももちろんですが、山中研究室では人がいかに快適で健康的に過ごせるかという視点から環境や設備の研究を行っています。着目する主な要素は、熱、空気、音、光の4つです。ただし、ただ快適で健康的な空間を実現すればいいのではなく、同時に省エネルギーであること、温室効果ガスを抑制することも大切な条件です。そのために自然エネルギーをいかに利用するかといった研究も進められています。

例えば、高層ビルの換気に最近採用された例では、各階の外壁に設けられた換気口から、風力を利用して風上側から外気を取り入れ、風下側から室内空気を排出し、横方向に換気を行います。しかし、風がないときにはこの方法は有効ではないので、さらに建物の四隅に吹き抜けを設け、吹き抜けの空気を太陽熱によって暖めて、煙突のように縦方向の空気の流れをつくり、建物の上部から排気することで、常に安定した換気が行えるよう工夫をしています。また、目に見えない人体や壁の表面温度を、サーモグラフィーを用いて熱画像として撮影するなど、様々な測定技術を駆使し、基礎的な研究や地道な環境調査を積み重ねています。


人が自然に集まる場所、にぎわいのある街、使い勝手がよく利用しやすい施設が世の中にはありますね。そうした場所や空間と人の心理や行動の間には法則性があります。あらゆる空間と人を観察することで新たな法則を見つけ出し、目的に沿った最良のアプローチを提案・提言するのが建築・都市人間工学の役割です。いわば建築工学における「人間行動」のプロフェッショナル。

利用者、管理者、設計者など様々な立場の人間の意識や行動から、建築や都市空間づくりにアプローチしています。
さて、今日体験してもらったのは、その法則を見つける手法の1つ。大学の図書館に新設されたラーニングコモンズと呼ばれる多目的スペースの利用実態を調査してもらいました。
あらかじめ準備した図面に、一定の時間間隔で利用者の属性やグループ人数、何をしているかなどを記号化して素早く書き込みます。データを蓄積・分析することで見えなかったものが見えてきます。

建築工学を学びたい方は、「地球総合工学科」に入学してください。
地球総合工学科は、建築工学科目、社会基盤工学科目、船舶海洋工学科目が統合された学科となっており、いずれもスケールの大きな構造物を扱う工学分野です。1年次は、この3つの分野を見渡しながら共通する工学の基礎を学び、2年次から各学科目にクラスが分かれて専門領域の知識を深めていきます。これを「分属」と言い、学生が希望する分野を重視しながら成績を勘案してクラス分けされます。
建築工学科目では、2〜3年次にわたって建築というモノづくりに必要な知識として、「計画・意匠系」「力学・構造系」「環境・設備系」から構成される多様な科目を幅広く学びます。そして4年次になると、興味関心の高い領域の研究室に所属し、その分野の第一人者である先生の指導を受けながら卒業研究および卒業設計を行います。
なお、多くの学生は大学院の地球総合工学専攻建築工学部門へと進学し、さらに高度な専門知識を身につけながら、社会的にも意義のある研究活動を行っています。

まず多いのが、ゼネコンと言われる建設業です。意匠設計、構造設計、設備設計などの設計業務に携わるだけでなく、建設現場で工事管理を行う現場監督として活躍したり、研究部門で新工法などの技術開発を行う卒業生もたくさんいます。
次に多いのが設計事務所・コンサルタントで、ビルや商業施設、個人の注文住宅などの設計を手掛けています。また、電力・ガス会社や電鉄会社などに就職する先輩も珍しくありません。これらの企業では、発電所などのプラントを建設したり、沿線で新しい商業施設や住宅地を開発するなどしており、建設会社に仕事を発注する側にも建築の専門知識が求められるからです。さらに、鉄鋼メーカーや化学メーカーで新しい建材の開発に携わったり、住宅メーカーで女性の立場から新しい住宅の設計に携わっている卒業生もいます。

建築工学科目 大阪大学工学部地球総合工学科