家電製品や医療機器、精密機器や光学機器、自動車や航空機、人工衛星、産業ロボットや人型ロボット、そして工場やプラントまで、私たちの暮らしや経済は機械たちに支えられて成り立っているよね。でも機械は様々な分野の技術の集合体。それだけに学びのフィールドも広いのが特徴なんだって。

高齢化社会を支えるロボットをつくりたい! 次世代の乗り物をつくりたい! 宇宙で働く機械をつくりたい! あるいは体の中から病気を治すマイクロマシンをつくりたい! そんな夢を叶えるための学問が「機械工学」です。でも、これらは機械工学のいわば"出口"の部分。どんな機械も多くの技術が融合した工学の結晶であり、モノづくりの"入口"にあたる基礎の学問や研究なくしては成り立ちません。
例えば、発電に使われるガスタービンや航空機用のジェットエンジンを開発するには、熱力学、材料力学、流れ学(流体力学)、機械力学の4力学に加え、制御に関わる理論、さらに必要な技術を最適に組み合わせるシステムインテグレーションといわれる学問も必要です。

ロボットも同様です。骨格に当たる材料、筋肉に相当するモーターやアクチュエーター、五感を再現するセンサー、頭脳を担うマイコンや人工知能、エネルギーを供給するバッテリー、それに3次元設計やシミュレーション技術、目的に合わせてそれらを統合するマネジメントやインテリジェント化技術など、多分野にわたる技術を結集しなければ、真に役立つロボットは生まれません。
そうしたモノづくりの入口から出口までを、国際的なレベルでトータルに学べるのが大阪大学の機械工学科目の特長です。各研究室が掲げるテーマも、原子・分子のナノレベルから人工衛星まで、理論を進化させる基礎研究から実用化をめざした研究まで実に幅広く、機械工学の最先端がフルレンジで揃っているのも歴史ある大阪大学だからこそ。ここから企業や国のプロジェクトを牽引できる将来のリーダーが育つことを期待しています。


大須賀研究室では様々なロボットを造っている。ただし、誤解してほしくないのはロボットづくりはあくまでも研究を深化するためのアプローチのひとつであるということ。では、私たちの求めるものとは何か。それは身体と場に埋めこまれた「知」を探ることにある。例えば生物のように知的に振る舞う人工物はどうすれば造れるだろうか? 生物の脳に相当する機能をうまく作り込めばできるかもしれない。しかし、昆虫などを観ると必ずしも「知」の全てが脳に存在するとは思えず、

実に不思議である。私たちはこの不思議に対して「制御の観点」で「知」の秘密の本質を見定めようとする。そうすると、その本質は「脳」のみならず、「身体と場の相互作用」にあるのではないかと思えるようになり、自然界に潜む真の「知」の仕組みに迫る研究を続けている。ここにある「受動的動歩行ロボット」も、そうした考えを裏付けるために造られたユニークなロボットだ。傾斜した場所に置くと、なんの制御もしないのに動力なしで勝手に歩き出す。脳の判断や指令がなくとも、身体と場が協調することで運動ができることを示す格好の例だと言えるのではないだろうか。


飛行機が飛んでいるとき、翼のまわりで空気はどのように流れているのだろう? ジェットエンジンは空気をどのように取り込み、燃焼し、排出しているのだろうか? あるいは血管の中を血液はどのように流れ、ヘモグロビンはどのように運ばれているのだろう? 気体や液体に代表される「流体」の「流れ」は非常に複雑で、まだまだ未解明の部分の多い現象なんだ。実験で実現象を観察することも難しい。

そこで登場するのが梶島・竹内研究室が研究テーマとする「流体工学」。数値シミュレーションによって「流れ」という物理現象の様々なふるまいを解析し、コンピューターの中で「数値実験」を行いながら、その原理の解明に迫っていく。また、「流れ」の数値シミュレーションの工学的な応用も重要であることから、航空機の抵抗を低減する空力設計、ジェットエンジンの高性能化、水棲生物の推進機構の解明、さらには二酸化炭素を海水中に閉じ込めて処理するための研究に取り組むなど、流体工学の視点から、エネルギーや環境に関わる様々な問題に取り組んでいるんだ。


太陽光や風力といった再生可能エネルギーによる発電が推進されているが、「蓄電」技術がまだ確立されていないことで推進にブレーキがかかっている。大容量で、充電・放電の管理がしやすく、しかも長く使える2次電池が求められているのだ。今、ここで実験している「レドックスフロー電池」はその有力候補の1つ。乾電池型の電池と違って液体(正確には電解液中のイオン)に電気エネルギーを貯め込む構造のため、タンクさえ大きくすれば大容量の蓄電装置を容易につくることができる。

ただし現状では充放電性能が期待値に届いておらず、電気を効率よく取り出すための電極の研究を進めているんだ。津島研究室では他にも燃料電池の反応効率を高める研究にも取り組んでいるんだけど、共通するテーマは、「エネルギー変換デバイス」の高性能化だ。デバイスの心臓部である化学反応の場や反応物の流路をナノ・マイクロメートルの精度でいかにデザインするか。内部現象の詳細な理解とモノづくりの技術を進展させることで、迫り来るエネルギー問題解決の突破口を切り開いている。


これはナノスケールの世界を観察できる透過電子顕微鏡を使った実験の様子。ディスプレイに映しだされているのは直径が数ナノメートルというカーボンナノチューブだ。この透過電子顕微鏡の特徴は、単にナノレベルの小さなものを観察するだけではなく、ナノマニピュレーターという制御装置が内蔵されていて、カーボンナノチューブ1本を曲げたり、引っ張ったり、熱や電気を加えることができること。

つまり、カーボンナノチューブのようなナノレベルの新規材料の特性を1個レベルで解明するための実験が行えるということだ。平原研究室は、カーボンナノチューブの合成から実験・加工まできる世界でも屈指の環境を誇る研究室なんだ。研究テーマは、「ナノテクノロジーと機械工学の融合」。例えば血液の中を泳動するマイクロサイズの医療ロボットなどを作製するために必要とされる材料やデバイスの実現をめざし、ミクロな世界の現象を機械工学の立場から研究しているんだ。

機械、材料、生産という工学の基礎となる学問を総合的に扱う応用理工学科に入学。1年次は教養、語学と共に工学の基礎科目を履修し、1年次終了時から機械工学科目とマテリアル生産科目に分属(科目配属)されて専門分野の学びが始まります。
機械工学科目のカリキュラムの特徴は、コア科目である「4力+制御」(下図[CLICK]参照)をしっかり学べること、そして演習や実験科目が豊富に組み込まれていることです。コア科目の講義には演習と実験がセットで組まれており、座学で学んだ知識を応用問題や体験を通じて定着できるように工夫しています。

また、コア科目の実験だけでなく、「機械創成工学実習」を含む「課題追求型学習課目」(下図[CLICK]参照)では、答のない課題に挑むことで柔軟な発想力を鍛えます。さらに3年次後期には、よりレベルの高い課題に取り組む「機械工学実験」も組まれています。
4年次は大学院の「機械工学専攻」と「知能・機能創成工学専攻」にまたがる研究室に配属。興味関心のある専門分野を探究しながら卒業論文のための研究に取り組みます。学部卒業生の9割以上が大学院に進学して、研究活動を継続しています。

機械工学は全てのモノづくりの基盤であることから、求人に関しては例年、メーカーを中心にあらゆる業種・業界の企業から数多く寄せられています。そうした状況の中、卒業生が進んだ企業を分野ごとに見ると、鉄鋼や素材を含む重工メーカーに約半数が就職し、自動車及びその関連メーカーと電機メーカーにそれぞれ4分の1が就職。光学機器や医療機器メーカーに進んでる卒業生もいます。いずれも日本を代表する企業であり、最新・最先端のモノづくりの現場や様々なプロジェクトで活躍しています。

大阪大学 工学部応用理工学科/大学院工学研究科 機械工学科目 大阪大学 工学部 応用理工学科