なぜインターネットで情報を取得できるの?
なぜ大きな貨物船が何事もなく海を渡れるの?
そのヒントはつなぐ技術にあります。
ものをつないでさまざまな産業を発展させる学問について
聞いてきました!

生産科学コースは、前身の「溶接工学科」から大切にしている"つなぐ技術"を学びの根幹としています。自動車・船舶・航空機などの輸送機器、橋梁・建築物・プラントなどの社会基盤構造物、コンピュータ・情報携帯端末・インターネット関連機器などのエレクトロニクス製品など、現代社会で発展する産業を目には見えない所で支える技術を生み出すための学問です。すでにあるものとあるものをつなぐことで、全く新しいものができあがることをものづくりの基本姿勢として捉えています。まずはさまざまなことに好奇心を持って「どうやって作っているの?」「なぜ動いているの」という疑問を持ち、じぶんで積極的にものづくりしてみましょう。

物と物をつなぐ技術

ものとものをつなぐ技術の代名詞「溶接・接合技術」は、生産科学コースが考えるものづくりの基礎です。生産科学コースでは次世代のものづくりに向けた最先端溶接・接合技術について学びます。各種接合プロセスのユニークさを知り、理論的なメカニズムとその応用を講義と実習により理解。ナノスケールからマクロスケールまで、非常に幅広いサイエンスを探求するのが特徴です。

仮想世界と現実をつなぐ技術

ものづくりでは、製品とそれを作る仕組みとを適切に設計して運用することが必要。そのために設計と運用を的確に評価することが求められています。現在、その評価が計算機上に設けた仮想世界の中で実施可能に。さまざまなケースでどのような仮想世界を創り、評価の処理を行って、その結果をどのように活用するかがとても重要です。生産科学コースでは、そのための知的な方法論を学んでいきます。

自動でつなぐ技術

スマートフォンやタブレットなどに使われるIC部品の電極端子は数千から1万点もあり、しかも1点の大きさは髪の毛の細さ以下。人間が接合することができないほど大量かつ微細な電極端子を接合するために、樹脂と金属粉末を混合した複合材料を加熱することで電極に融けた金属が自動でつながり、電子回路ができる「自己組織化実装」という技術にトライしています。

つないだものを壊さない技術

橋や船などの大型構造物は、完成後も溶接部に損傷が発生したり、地震などの災害にあったり。そのような事態が起きた場合も、構造物全体としての安全性を確保することはとても重要です。溶接してつないだものを壊さないために溶接部の壊れ方を明らかにし、その知見を活用して壊さないための設計手法や評価手法を展開します。

企業と大学をつなぐ現場

"つなぐ技術"は、ものづくりに直結する技術であるため、実際に企業との共同研究も数多く行われています。ケースによっては、学部生も企業の担当者、教授や大学院生と一緒に打ち合わせに参加したり、工場や研究所などものづくりの現場で実験したり。最先端のものづくりを直接肌で感じながら、日々の研究を進めています。

大型構造物の安全性や性能を評価

全長200mの大型貨物運搬船のような大型構造物も、実は大小さまざまな大きさの鋼板を溶接してつなぎ合わせてできています。1隻建造するのに、なんと約500kmの長さを溶接。生産科学コースでは、船舶の安全性や性能を決めるくらいとても重要な溶接部の特性を最先端の評価技術を駆使して明らかにし、大型構造物の安全に役立てるための教育・研究を行っています。

あらゆる現場で広がるエレクトロニクス実装技術

近年のIT技術の進歩によってスマートフォンやタブレットはもちろん、自動車・鉄道・航空機などの輸送機器、最新の医療現場や生産現場などあらゆる分野でエレクトロニクスが活用されています。各分野で利用される製品のため、設計から製造、検査と信頼性の評価までの統合的なエレクトロニクス実装技術を実現するためにコンピュータによる解析などを用いた新規技術の提案と実証を行っています。

仮想世界と現実をつなぐことによるロボティクスの発展

今、柔らかい部品を取り扱う作業、例えばワイヤーハーネスを自動車に組み付ける作業は、そのもの自体が柔らかく自在に変形するので人手で実施。このような作業でロボットを活用するために、仮装世界と現実を巧みにつなぐことでどのように持つとどう変形するかという予測をさらにスピードアップさせ、ロボティクスを発展させます。

自動車・輸送機器の製造を変える溶接・接合技術

自動車や輸送機器に関してデザインはもちろん、製造プロセスも重要。どのような材料をどのようにつなぎ合わせるかによって信頼性やコスト、環境負荷が変わります。生産科学コースでは省エネルギーで高効率な溶接・接合技術などを研究するとともに、基礎的な材料解析・評価から実用化研究までのプロセス開発を行っています。

生産科学コースの学生の9割以上は大学院へ進学します。博士前期課程修了後はさらに"つなぐ技術"を高めて、多種多様な分野で活躍。重工・機械・精密機械分野をはじめ、鉄鋼や自動車、エレクトロニクス・情報・通信など、多くの卒業生たちがこれからの日本の産業を"つなぐ技術"で支えています。さらにメーカーだけではなく、活躍の幅が広いのも特徴です。

鉄鋼・素材
神戸製鋼所/JFEスチール/新日本製鐵/住友金属工業/日新製鋼 など

重工・機械・精密機器
IHI/川崎重工業/小松製作所/島津製作所/ダイヘン/デンソー/三菱重工業/村田製作所 など

自動車・輸送機器
スズキ/ダイハツ工業/トヨタ自動車/日産自動車/本田技研工業/マツダ/ヤマハ発動機 など

エレクトロニクス・情報・通信
NTTドコモ/オムロン/キヤノン/京セラ/シャープ/ソニー/東芝/日本電気/パナソニック/日立製作所/三菱電機 など

電力・ガス
大阪ガス/関西電力/四国電力/東京ガス/日本電子力発電 など

運輸・サービス
JR各社/阪急電鉄 など

大学・官公庁
応用科学研究所/大阪大学/大阪府立産業技術総合研究所/産業技術総合研究所/日本原子力研究開発機構など

その他
旭硝子/セガトイズ/東陶機器/日亜化学工業 など

私は現在、石油プラントなどの大型構造物の溶接に関する研究を行っています。このような業務に携わるにあたって、業務を遂行するために電磁気学・熱力学・材料力学・流体力学などに基づいて溶接現象を理解しなければなりません。生産科学コースはこれらを包括的に学べるカリキュラムとなっており、現在の業務でダイレクトに役立っています。

私は現在、生産技術者として自動車作りに携わっています。自動車はマルチマテリアル化が進み、材料や接合に関する幅広い知識を持つ技術者が重宝。生産科学コースでは金属材料や樹脂材料に関する知識、それらの接合プロセスを座学だけではなく、実際に溶接プロセスに触れることができ、今の仕事に大いに役立っています。

現在、私は特に溶接に関する知識を使いながら、新しい溶接技術の研究・開発を担当しています。生産科学コースでは材料学、力学、電磁気学、溶接工学などの幅広い分野の知識を身につけることができました。また、研究室で課題に対して粘り強く取り組む姿勢を身につけたことが、今も非常に役立っています。

大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 生産科学コース