工学部の生物系で唯一、分析化学を中心に研究を展開しています。雑多なものからなる天然物を機器により分離し、構成成分を定量します。物質には固、液、気の3状態があり、安定なものも不安定なものもありますので、多種類の分析装置が導入されています。目的は、分析技術開発と、機器による分析値からさらに解析して社会に役立つ情報を得る手法を提示することのふたつです。食品、医薬、環境分野などで活用できるデータを提供していきます。

実験動物を用いた研究によって、生物と環境のかかわりを調べています。おもな実験動物は、私たち人間のモデルともなるマウスと生態系でも重要な位置を占めているミジンコです。ミジンコは環境指標生物のひとつで環境のモニタリングに適しています。研究室ではマウスやミジンコのゲノム情報を利用して環境中の化学物質などの影響を的確に評価するシステムの確立を目指しています。これによって、地球環境、生命環境をどのように持続させながら社会の発展を目指すべきかの指針づくりを目指しています。

微生物を使って化学品をつくるのがこの研究室のテーマです。微生物を人工的に培養し、それを産業利用して人間に有益な製品を提供していくための研究です。身近な例を挙げると、抗生物質はもともと微生物由来の製品です。ほかには食卓にある調味料。グルタミン酸という旨味成分が工業的に生産されています。バイオを研究する学問領域はさまざまありますが、ここは工学部ですから、最終的にものづくりにつなげていくことが特徴です。

このガラス越しの実験室では、ヒトの細胞を育てています。ヒトの細胞を培養する場合清潔な環境を保つ必要があり、非常に厳密な管理がなされています。我々の研究目標は再生医療への貢献です。お菓子工場では定められたレシピと手順を守れば常に同じ製品ができますが、それと同じように細胞組織をつくりだすのが将来的な夢です。実現できれば安価で移植医療が受けられるようになり、再生医療を人々の身近なものにすることができます。

ここでは石油に代わる燃料を、植物からつくる研究を展開しています。ナンヨウアブラギリという植物があり、タネに多量の油を含むことからバイオ燃料の原料として注目されています。大阪大学工学部らの研究チームは、ナンヨウアブラギリの全ゲノム解読に世界で初めて成功し、その成果を活用して効率的に燃料を取り出せる遺伝子組み換えを試みています。化石燃料は量的に有限ですし、植物燃料ならCO2削減の効果も期待できますね。

この研究室では特に極限微生物という生き物に注目しています。世の中には非常に特殊な環境で生きられるユニークな微生物があるんです。零度の環境でも生きられる好冷菌、110°を超える熱湯の中でも生きる超好熱菌などのほか、耐乾燥菌、好塩菌など。我々はそれら微生物がなぜ生きられるのかを解明するために、タンパク質の特性に注目しながら研究を進めています。それぞれの菌の特性を解き明かし、最終的には産業利用を目指しています。

ここは遺伝子組み換えのための実験植物を栽培する施設です。植物が生産する化学成分には膨大な数があり、なかには医薬品の原料などに有用なものが含まれているはずで、その仕組みを遺伝子レベルで解明しようと研究しています。例を挙げると、薬品の原料を生みだすと考えられる遺伝子を他の植物に導入する。そこでも同じ成分ができれば、この遺伝子が薬品の原料をつくりだしていることが証明できます。そのような実験を行っています。

この赤い液体は紅麹菌がつくる赤色色素です。身近なところではカニカマの材料がこれ。青い液体は放線菌による青色色素です。放線菌からは抗結核剤などが生成されています。ここにもう一つ青く見える液体がありますが、一見同じように青く見えても、実は化学構造式に起こすと全然ちがう物質だということがわかります。同じ青でも異なる微生物がつくる異なる青。非常に複雑な物質をつくりだす微生物は、人間にとって有能な工場になり得ます。

皆さんはパンを食べますね。それは酵母菌を食べているともいえます。我々はそうした人間にとって安全な微生物に、オリジナル以上の能力を付与する研究を進めています。微生物の能力は概ね遺伝子で定められていますから、遺伝子レベルの改変によって新たな能力を持つ微生物の開発を目指しています。さらに当研究室では、世界的に研究上重要とされる酵母菌もたくさん保有しており、政府のプロジェクトを通じて世界の研究者にその酵母菌を提供しています。

我々は植物の特長を活かした新たな医療タンパク質の創出を研究しています。植物は自然の光エネルギーを利用でき、食べられる。たとえばインフルエンザワクチンを含む植物があれば、食べるだけで治療できるかも知れません。こうした人にやさしいタンパク質づくりなど、応用生物工学では人間社会をよりよくする、世界レベルのバイオ研究が活発に展開されています。人類の未来に貢献するダイナミックな研究に興味を持つ人をお待ちしています。