これは形状記憶合金です。聞いたことがありますよね。すでにいろいろ応用されていて、曲がっても元に戻るフレームのメガネなどが有名です。これを引っ張って伸ばし、お湯の中に入れると、はい、元に戻りました。普通の銅線などはお湯につけても元に戻らないのに、なぜ形状記憶合金は戻るのでしょうか。その原理は、原子と原子のつながりや弾性といわれる現象にあります。マテリアル生産科学とは材料の特性を原子レベルで解明し、次世代の材料を生みだす分野です。

今日はナノ粒子を用いた新接合方法をご紹介します。なぜナノ粒子に注目したか。粒子が小さくなると表面にある原子の割合が多くなり、表面エネルギーが大きくなります。表面エネルギーというのは簡単にいうと周りと結合したい力で、これを利用するとこれまでよりとても低い温度で接合が可能になります。我々の研究室では、他にも自動車に使うアルミと鉄の異種金属接合やレーザーを利用した微細加工などの研究をしています。

みなさんの中にはロボットをつくりたいと思っている人もいるでしょう。でもそのためにはいいセンサーやいいモーターが必要です。じゃあ、センサーやモーターの性能を上げるためには何が必要かというと、材料から新しく開発するしかないんです。これがマテリアル生産科学科目の基本的な考えで、私は半導体が専門なので、このシリコンが原料になっている太陽電池の研究をしています。

ここではNCフライス加工のデモを行います。この加工では、フライスと呼ばれる縦にも横にも削れるドリルのような工具を使い、材料が固定されたテーブルとこの工具とをコンピュータが自在に動かすことで、ミクロン単位の複雑な3次元加工ができます。写真は、プログラムによって自動的に、ワックスの直方体にキャラクターの形状が削りだされているところです。我々は、このような加工作業をはじめとした、ものづくりにおける様々な作業に対して、コンピュータやロボットを用いた知的支援の方法論を追究しています。

この実験のテーマは「液体窒素に鋼は耐えられるのか」。白い煙が出ているのは液体窒素です。液体窒素によって材料の強さがどのように変わるのか、シャルピー衝撃試験という方法を使って材料の強さを確かめます。材料の強さを知ることはとても重要です。例えば東京スカイツリー。あんな大きなものが何でつくられているかというと鋼なんです。そして、東京スカイツリーをつくったのは工学部で学んだ人たちです。みなさんも工学部で学び、未来の構造物をつくってください。

これがシャルピー衝撃試験を行う装置です。フランスのシャルピーさんという人が1901年に考え出した方法です。非常にシンプルです。振り子式のハンマーで材料を叩き壊し、壊したときに使ったエネルギーを量るという方法です。物理のエネルギーの保存則を使います。本来なら振り子は元の位置まで上がりますが、材料を壊すのにどれだけエネルギーを使ったかで振り子の上がる位置が変わります。

我々は目に見えないすごく小さい材料を研究しています。薄膜材料といって原子が数十個積み重なった程度のナノオーダーの厚さです。薄膜材料はパソコンの半導体メモリやハードディスクに使われています。これが薄膜をつくる装置です。原理は簡単で、金属を温めて原子を蒸発させ、薄膜を付けたい基板の上に堆積させるというものです。この装置のすごいところは中が宇宙レベルの真空であること。半導体や絶縁体を含めたいろいろな材料に磁石の機能を持たせた新材料が目標です。

お静かに。これから行う超伝導実験では、液体窒素を使って超電導物質を磁石の上に浮遊させます。回路を組んで物質に電流を流すと電圧が発生します。そのときの電流の流れにくさが電気抵抗ですね。超電導物質ではこの電気抵抗がゼロになる現象が1911年に発見されました。超伝導がどういうふうに使われるかというと、強力な電磁石の線材に使われ、リニアモーターカーのシステムを構成する重要な要素技術になっています。

ヒューマノイドロボットは人間の体を真似てつくられています。通常、筋肉に相当する仕組みには一般的なモータやアクチュエータが使われていますが、しなやかで柔軟性がある人間の筋肉を実現するのは容易ではありません。我々はリニア電磁アクチュエータのPID制御により、筋肉の挙動を実現しようとしています。これは、リニア電磁アクチュエータで構成した人間の腕のモデルです。バネやダンパーのような効果があって衝撃を吸収することもできます。ちょっと触ってみませんか。

きれいに光っているでしょう。私たちは触媒の研究をしています。クルマや飛行機、エアコンなど触媒はいろいろなところで役立っているのですが、ドラマにもよく出てきます。事件現場で鑑識の人が床や壁に薬品を振りかけて暗くすると青白く光って血痕が浮かび上がりますよね。あれはルミノール反応といいます。血液の模擬溶液にルミノールと過酸化水素を混ぜた溶液を入れています。触媒もマテリアルの1分野。マテリアル生産科学分野は未来に役立つ次世代技術を開発しているんです。