社会基盤工学科目では、公共の建造物や設備について様々な観点から考察し、実験・研究を行っています。写真の水工実験場では、海岸などで発生する津波についての実験が実施されています。50分の1から100分の1のスケールの水槽で、ピストン型造波機で波をおこし、橋の模型にセンサーを装着して橋にかかる津波の圧力を測定する実験を行います。この設備は防波堤の性能や、ケーソンの安定性の確認などにも使われます。

水槽は長さ41m、幅0.7mの広さがあります。奥にいくほど深くなっていて、手前にくるほど波が高くなる様子がよくわかるようになっています。スケール換算すると、実験で発生させた津波は実際の大きさに置き換えると5mほどの高さになります。波をおこす造波機は、ピストン型のほかにフラップ式などいろんなタイプがありますが、大阪大学ではピストン型を使っています。

この実験では、橋桁に作用する津波流体測定を行います。何度か波をおこし、橋にかかる津波の圧力を測定するわけですが、こうした実験設備はほかにも消波ブロックの安定性の検討や、海浜変形実験、超長周期波の制御のための新型共振装置の検証など、いろいろな水工実験に利用されます。

橋梁模型を用いた実験は論文化され、流体力の特性などが分析されます。こうした大学内での実験結果は各地の設備設計時にいかされ、震災による被害を低減していくことにもつながります。2004年に発生したスマトラ沖地震津波や、今年おこった東日本大震災での地震津波など、過去の災害を教訓にしながら、よりよい設備整備のために多くの研究員が実験を行っています。

社会基盤工学科目では、構造解析や設計に関する研究にも積極的で、強度や耐震技術の高度化を図るための実験も行っています。スパイラル鋼管に軸力を与え、地震時の挙動や、どの程度の軸力に耐えられるかを把握したうえで、その実験結果をもとに開発したプログラムで鋼部材を解析し、巨大地震でも安全な橋梁をつくるための設計法を開発するなど、新しい試みにも取り組んでいます。

この写真は、高速道路を支える橋脚のはりと柱をつなぐ重要な部位である隅角部です。都市高速道路が崩壊した兵庫県南部地震クラスの巨大地震でも安心できる構造物を作っていくために、鋼製ラーメン橋脚の隅角部の塑性化を考慮した具体的な設計法の開発を目指して、試験体による載荷実験を行っています。こうした実験結果は今後の鋼部材や橋梁の設計法へといかされていきます。

自然災害に強い土構造物の創出に関する技術研究では、耐震性能を考慮した経済的な道路盛土の天端一体化工法を開発しました。これまで各地の土砂災害で、道路盛土のすべり破壊による被害が多発してきましたが、このような災害を防止し、耐震性能のバランスがとれた安全で信頼性の高い道路網整備のためのひとつの設計概念として、この研究は平成21年度地盤工学会関西支部賞、地盤技術賞を受賞しました。

また、種々の地盤情報データを再利用する手法のひとつとして、ニューラルネットワークの一種であるSOMを提案。防災点検について新たな知見を与えながら、調査の効率化やコスト削減が実現できるよう、道路斜面へのSOM適用を働きかけています。SOMとは、セルフオーガナイジングマップのことで、連想記憶を意味します。連想記憶とは、感覚で得たものと記憶を照らし合わせて連想を行うことができる記憶方法です。

これは、波面計測装置を搭載した気球です。波面計測装置とは、ふたつのカメラで撮影した波面の映像から、3次元の波面形状を計測する装置です。離岸流場周辺の波面の3次元形状の時刻歴変動から、離岸流発生のメカニズムを解明します。気球の底部の左右の端にそれぞれ付いているのがカメラで、沿岸域の利用と開発および防災機能に関する研究で活用されています。

波面計測装置を搭載した気球から撮影した写真です。日本では海岸線の侵食が大きな問題となっています。海岸の砂の移動には、海浜流が大きく影響していると考えられているのですが、気球に搭載したビデオカメラにより、海水に蛍光染料(救難信号用フルオレセンナトリウム)を投入し離岸流の発生の様子を計測し、研究に利用しています。このように、建造物の基礎や地盤等に関わる幅広い領域について研究する社会基盤工学科目で、地震台風などに負けない暮らしづくりを一緒に学びませんか?