在学生・卒業生インタビュー

2023/01/20OB・OG

阪大は意欲のある学生に様々な機会を用意してくれている大学です

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「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学時代のお話や現在のお仕事についてなど、卒業生の大和田 貴理子さんにお話を伺いました。

マテリアル生産科学専攻 生産科学コース 機能化プロセス工学領域 
廣瀬研究室 博士前期課程修了(2019年)
株式会社IHI
資源・エネルギー・環境事業領域
カーボンソリューションSBU 相生工場
製造部 工作技術グループ
大和田 貴理子さん

研究室のメンバーはフレンドリー。大学院からでもすぐに馴染めました

私は大学院から阪大に入ったのですが、そもそも工学部を選んだきっかけは高校生の時に参加した、ある大学のオープンキャンパスでした。金属同士をくっつける研究があると知って衝撃を受け、工学部の材料系、機械系の学科を中心に大学選びをはじめました。

建築や船などの大きな構造物に興味があったこともあり、もと商船大学だった東京海洋大学へ進学しましたが、大きな構造物をつくるには高い溶接技術が必要だということがわかりました。溶接、接合技術についてもっと深く学びたいと思い、大学院から廣瀬先生の研究室でお世話になることになりました。

他の大学の研究室もいくつか見学には行ったのですが、廣瀬研究室のメンバーはみんな仲が良くて、研究室の雰囲気が一番良かった。阪大の学部から大学院にあがってきた学生だけでなく、外部から来た学生も受け入れてくれるフレンドリーさがあり、すぐに馴染むことができました。

自動車の車体軽量化を目的に、鉄とアルミを接合し強度を高める

懐かしの実験室にて。「試験片を用意して機械にセットし、色々な条件を与えて接合します」と大和田さん

研究室では、新しい摩擦攪拌点接合プロセスの開発について研究をしていました。
摩擦力を使って金属の温度を上げ、金属が溶けずにゆるくなっている状態をつくると金属同士がくっつきます。1点集中で攪拌させて金属をくっつけ、くっついている面の金属組織の状態や特性、引っ張り強さなどを評価して、何が全体の強度に影響を及ぼしているかを調べていました。

金属といっても様々な種類があるので、私は、自動車の車体の軽量化を目的に、鉄の一部をアルミに置き換えて、摩擦攪拌点接合で強度を高めるという実験をしていました。車体を軽くすることができれば、ガソリンの燃費も良くなり、地球にやさしい自動車の製造に貢献することができます。接合自体は数十秒くらいで終わりますが、評価には時間がかかるので、1日中研究室にいることが多かったです。

阪大の先生は学生にチャンスをくれる。活かす、活かさないは自分次第!

廣瀬研究室の同期と国際学会で訪れたオハイオ州コロンバスでの1枚

院生2年目の秋に国際学会で発表する機会をいただき、研究室の同期と一緒にアメリカ オハイオ州のコロンバスに行きました。英語での質疑応答は緊張しましたが、現地のスーパーへ行ったり、レストランの巨大ハンバーガーにアメリカを感じたり、一生忘れられない良い経験になりました。

阪大の先生は、頑張っている学生に対してチャンスをくれるし、阪大自体も学生に様々な機会を用意してくれています。それを「活かす、活かさない」は自分次第だと思います。実験の設備も普通は学生が使えないような最先端の機器が揃っていて、周りの学生も優秀な人材が多い。そんな恵まれた環境で仲間と一緒にいると、自然と自分も頑張ることができ、大学院から阪大に入って本当に良かったなと思っています。

溶接の幅が広がってきていることにやりがいを感じています

大和田さんの職場風景(IHI工場内)

就職先は、阪大で学んだ溶接接合の技術を活かすことができ、大型の構造物をつくれる重工メーカーがいいなと思い、大学の推薦枠で株式会社IHIに入社しました。OB・OG訪問で、実際にIHIで働いておられる先輩の話を聞け、女性社員が活躍されているというのも決め手になりました。

現在は火力発電用ボイラーの溶接の施工管理を担当しています。量産品のように同じものをつくるのではなく、ボイラーごとに仕様が異なるので、実際に溶接試験をして適切な状態かどうかを確認します。悪い状態の場合は、そうならないためにはどう調整したらよいか、その都度検討しながら進め、問題なくきちんと溶接できることを確認してから、実施工程に移ります。

材質を薄くして速く溶接するとか、局所的に熱を加えるとか、自分たちがやりたい施工をどうしたらうまくできるかを常に考えているので、実務を通して溶接の幅が広がってきているなと、日々やりがいを感じています。

阪大の研究室で培われてきた力は社会でも役立ちます

研究室での松田先生との久々のツーショットに、笑顔がこぼれる大和田さん

私が溶接を担当しているのは一部分ですが、それがいくつも集まって何十メートルという高さの大きな構造物になります。完成したものを見ると「これが私のつくっているものなんだ!」と感動し、嬉しくなります。

大学の授業で溶接を学び、頭では理解はしていたけど実感としてはまだなかったものを、実際に仕事で目にすることで、「あの時、先生が言っていたのはこういうことだったのか」と再認識でき、今につながっているなと感じています。また、課題に対する考え方のプロセスや、資料のまとめ方など、阪大の研究室で培った力は、社会人になった今も大いに役に立っています。

阪大工学部を受けるか迷っている受験生の皆さんには、ぜひ受験していただき、社会で活躍できるスキルをたくさん身につけてほしいです。

※写真撮影にあたり、感染対策を行った上で、マスクを外して撮影しています。

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