在学生・卒業生インタビュー

2023/01/20在学生

日本有数の研究機関でもある阪大工学部では、最先端の研究に取り組めます

twitter facebook

「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学での学びやこの学部を選んだ決め手、入学してよかったことなど、櫻羽 真熙さんにお話を伺いました。

応用自然科学科卒業
応用化学専攻
有機金属化学領域 生越研究室
博士後期課程2年 櫻羽 真熙さん

数学は大の苦手でしたが、化学が好きだったので阪大工学部を志望

学部生時代にサークルの同期と行った一泊旅行での記念ショット(右から2番目が櫻羽さん)

小さな頃に「科学と学習」という本が好きでよく読んでいたので、その頃から漠然と自然現象に興味があったんだと思います。高校時代に得意だったのは文系科目で、数学は大の苦手でしたが、やっぱり理科の授業が面白く、特に化学が好きだったので、阪大工学部の応用自然科学科を志望しました。数学は受験までに何とか平均点を取れるよう猛勉強しました。

応用自然科学科では、最初の1年は、自然科学を総合的に学んで基礎を固め、2年生の進級時に「応用化学科目」「バイオテクノロジー学科目」「物理工学科目」「応用物理学科目」の中から、自分の進みたい専門分野を決めることができます。時間をかけてゆっくりと自分の興味を絞り込むことができるので、化学、物理、生物のどの分野に進もうか迷っている学生にもおすすめの学科です。

研究者たちの発見の積み重ねの上に、最先端の研究が成り立っている

学部生時代は実験の授業がとても楽しかったと櫻羽さん

応用自然科学科の応用化学コースでは、2、3年生の間に、研究者として必要な化学の知識を身につけるため、講義や演習、実験、化学英語に関する科目を履修します。私は実験が好きだったので、フラスコや試験管など、高校までに使っていたような実験器具を使って代表的な有機化合物の性質や反応をみる、有機化学実験がとても楽しかったです。

もちろん、大学に入ってからも教科書で学ぶ機会は多いですが、教科書に載っていることは、これまでの研究者たちが発見してきたことで、その積み重ねの上に最先端の研究が成り立っているんだなと感じました。

学部生時代は、勉強だけでなくアルバイトも頑張っていましたが、コールセンターで自動車保険の受付業務を行い、大変勉強になりました。顔の見えない相手と話すのは難しいですが、相手の話を聞きながらもこちらの知りたい情報を聞き出していく、中にはパニックになっている方もおられるので、マニュアル通りにいかないことも多く、臨機応変な対応や人と話す力がついたかなと思います。

有機化学の魅力は、構造式が美しくて可愛いところ

走り書きの構造式が何ともかっこいい、実験室の透明のアクリル板

研究室選びでは、有機化学系の研究室をいくつか見学しましたが、学ぶ時は学び、遊ぶ時は思いっきり遊ぶといった、オンオフがはっきりとしている生越研究室の雰囲気に惹かれ、自分自身のスキルアップを図れそうだと思いました。

有機化学の魅力は、ちょっとオタクっぽく言うと、構造式が美しくて可愛いところです(笑)。構造自体が目に見える訳ではないですが、目に見えないスケールのものに新しく結合をつくったり、構造を変えたりして、新しい物性をつくれる、目に見えないものを触って新しいものをつくれるところに魅力を感じます。

粗水素の中の水素をわざわざ取り出さずに活用する

オートクレーブ反応装置を使い、一酸化炭素や二酸化炭素が混ざった粗水素を活用する研究をしています

研究室では粗水素(そすいそ)の活用技術を研究しています。通常、水素は高純度でなければ使えないのですが、純度を向上させる過程でたくさんのエネルギーを使用し、副次的に温室効果ガスも排出します。不純物が含まれる粗水素から純粋な水素をあらかじめ分離することなく、粗水素そのものを化学反応へ活用することが出来れば、世界に誰も実現したことのない環境にやさしい新技術が達成できます。

具体的には高圧に耐えられるオートクレーブという反応容器を使用し、攪拌しながら反応を見ます。実験データを読み取り、粗水素の直接利用に一番良い条件を探します。実験の結果、より良い反応条件が見つかり、目標とする化学反応が完成したとしても、粗水素活用技術をもっと広く応用することができないか、研究を続けていきます。創造力の限り、次から次へと、研究は展開していくので楽しさは無限大です。

大学の研究は自分で新しいことを発見していく期間

グローブボックスを使った実験風景。女子は手が小さく、大きなグローブをしながらの作業は、慣れるまで難しいと櫻羽さん

阪大工学部は日本有数の研究機関でもあるので、大学院に進む人は多いです。私も大学院で2年間学んだ後、一度、社会人になったのですが、もっと自分のスキルアップを図りたいと思い、研究室に戻ってきました。博士後期課程まで進む学生は少ないですが、最新の設備を使って、最先端の研究に取り組めるのは大学院の特権かなと思いますし、今の環境をしっかりと楽しみつつ、研鑽をつんでいきたいなと思います。

生越研究室からは化学メーカーへ就職する学生が多いですが、エネルギー関連やコンサルティング会社、商社に行かれた先輩もおられます。私も有機化学の学びを活かしつつ、新たなことにチャレンジしていけるような人でいたいです。

勉強は過去の研究者がやってきたことを知る期間だけど、大学の研究は、その期間が終わって、今度は自分で新しいことを発見していく期間です。いきなり研究を始めようとしても基礎がないと出来ないので、高校生の間にしっかりと基礎を身につけて、大学に進んでほしいなと思います。

※写真撮影にあたり、感染対策を行った上で、マスクを外して撮影しています。

最近の記事