在学生・卒業生インタビュー

2025/01/16OB・OG

仲間と研究や部活に打ち込んだ経験が、人生を支えてくれている

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「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学時代のお話や現在のお仕事についてなど、卒業生の木下拓也さんにお話を伺いました。

応用自然科学科卒業
応用化学科目 応用化学専攻 有機金属化学領域 生越研究室
博士後期課程修了(Ph.D.) (2018年)

現 積水化学工業株式会社 高機能プラスチックスカンパニー 開発研究所 CAプロジェクト
副主任研究員
木下 拓也さん

機能材料の設計から世に出るまで一貫して担当

木下さんが開発に携わったケアマテリアルの商品

応用化学専攻の生越研究室で博士後期課程修了後、2019年に積水化学工業株式会社に就職し、現在は高機能プラスチックスカンパニー開発研究所にて新製品の開発に従事。抗ウイルス剤をはじめとするケアマテリアルなど、ライフサイエンス関係の機能材料の設計から製品化まで一貫して担当しています。

入社6年目ですが、テーマリーダーとして研究とマネジメントを兼任し、日々とても良い経験をさせてもらっています。時勢に応じて研究テーマの移り変わりはありますが、実際に携わったテーマについては、世の中に出るまで責任感を持って最後まで携わることができるというのが、この研究所での醍醐味かなと思います。

阪大で身に着いたビジネススキルの基盤

阪大工学部での研究成果は面接でアピールしやすく、就職活動もスムーズだったと木下さん

積水化学工業株式会社では、若手にも大きな裁量が与えられ、自分で考え研究を進めることができます。挑戦の自由度が高い、そんな社風に惹かれて第一志望で受けた会社でしたが、阪大工学部では最先端の世界トップレベルの研究を行っていたので、面接でも成果をアピールしやすく、就職活動もスムーズに進めることができました。

大阪大学の学部時代、大学院時代に、研究者として即戦力になれる深い専門性だけでなく、資料作成力、プレゼン力、コミュニケーション力など、ビジネススキルの基盤を身につけることができたので、社会人生活にすんなりと移行できました。業務では海外の顧客やグループ会社との打合せの機会もありますが、大学院時代に国際学会で外国の方とディスカッションしたり、グローバルな経験を積んだ経験も役立っていると感じています。

勉強も遊びも手を抜かず全力で!

志望大学に阪大工学部を選んだ理由はいくつかあります。まず入学後に、物理、化学、生物の基礎的なところを学んでから専門を選ぶことができるというところに魅力を感じていましたが、実際にオープンキャンパスに来てみたら、広いキャンパスに立派な研究棟が並んでいて感動しました。立地もよく、総合大学ということで他の学部生との交流も活発そうでいいなと思いました。

実際に通ってみると、北摂は治安が良く交通も便利で過ごしやすく、より大阪が好きになりました。阪大工学部の学生は真面目な印象ですが、部活やサークルなど、学業以外のことも本気で取り組む学生が多いので、そこはすごく意外でした。
私も「軽音楽部ROCK」に入ってドラムを担当していました。豊中キャンパスをメインに活動していたので、2年次以降は吹田キャンパスから通っていました。時間の切り替えが上手くなっただけでなく、勉学も遊びも両方手を抜かず全力で頑張った経験は、今の自分の人格形成にもつながっているなと思います。

水素を還元剤とするアミノ酸新規合成法の開発研究

実験を通じて分子レベルのものづくりを行う分子設計に興味を持ったという木下さん

学部生時代は学生実験が面白く、教科書に載っている分子式を実際に自分の手を動かして作ったのがとても興味深かったです。それがきっかけで、新しい有機合成反応を開発して分子レベルのものづくりを行う反応開発、分子設計の道に進みたいと思い、有機系の研究室に入りました。生越先生は学業のみならず、人間性も含めた指導をしてくださる教育熱心な方なので、先生の人間性に惹かれて研究室を選んだというところもありました。

大学院では、環境負荷が大きい金属の触媒を使わず、いかに環境に優しい方法でアミノ酸を合成するかに焦点を当て、水素を還元剤とするメタルフリーでのアミノ酸新規合成法の開発について研究をしていました。生越研究室は金属系の反応開発がメインの研究室でしたが、そこから派生した、あえて金属を使わないというところをテーマにした新しい研究でした。アミノ酸は医薬品の原料や中間体になったりするので、環境負荷の小さい触媒を使ってアミノ酸を合成することができれば、幅広い応用が可能となります。
肉眼では見えない一番小さな構造から、世の中にはない新しい化学物質を作ってその構造を分析、解析して分子の動きを理解することで、その分子特有の新しい機能や性質を次の応用に生かすアイデアを考えるところに面白みを感じていました。

数えきれない思い出が詰まった阪大工学部での生活

私の所属する研究グループの担当は星本先生でした。化学に対してまっすぐで、研究ビジョンをしっかりと伝えてくれて、僕らに夢を見させてくださるリーダーシップの塊のような方で、この先生についていけばきっと良い結果が出る!と思えました。それもあって博士後期課程に進学しました。研究室は常に活気が溢れ、家族のように仲良く過ごしていました。ハワイの国際学会に参加したことも良い思い出です。全て英語で準備して現地で発表するという機会は、普通の大学生ではなかなかできない貴重な経験ですし、今の仕事にも活きています。

阪大工学部での学生生活には数えきれないほどの思い出が詰まっていて、仲間とともに部活動や研究に打ち込んだ経験が、自分の人生を支えてくれていると感じています! 受験生の皆さんには、ぜひ阪大で最高のキャンパスライフを経験してほしいです。

上段・左:留学先研究室メンバーとの送迎会
上段・右:カナダの学会でポスター賞を受賞。星本先生と記念写真
中段・左:ハワイ学会でのポスター発表
中段・右:卒業年の修論祝賀会
下段・左:留学先の学生メンバーと
下段・右:ノーベル化学賞受賞者Schrock先生との写真

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