在学生・卒業生インタビュー

2023/01/20OB・OG

学びから就職先まで、阪大工学部には様々な選択肢が用意されています

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「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学時代のお話や現在のお仕事についてなど、卒業生の古館 侑大さんにお話を伺いました。

精密科学・応⽤物理学専攻 精密科学コース
(現 物理学系専攻 精密工学コース) 原⼦制御プロセス領域
桑原研究室 博士前期課程修了(2015年)
コマツ(株式会社小松製作所)CTO室 知的財産部 関西・北陸グループ
古館 侑大さん

阪大には様々な価値観の学生がいるので毎日が刺激的

サークルの同期と卒業旅行で訪れたアイスランド(後列左から2番目が古館さん)

高校時代はやりたいことが明確に決まっていなかったので、とりあえず、大学の学部は、一番研究領域が広そうな工学部かなと考えていました。通っていた愛知県の高校からは、地元の国立大学を目指す同級生が多かったですが、一人暮らしへの憧れと、友達が大阪に住んでいて楽しい街という印象があったので、思い切って阪大工学部を受験することにしました。

大阪大学といっても大阪出身の学生が多いわけではなく、全国から様々な価値観を持った学生が集まっているので、毎日が刺激的で楽しかったです。友達に誘われて軽い気持ちでテニスサークルに入会しましたが、気づけば、ほぼサークル中心の生活に。学部生の3年間は、勉強はそこそこにという感じでした(笑)。

先生と夜通し実験したことは良い思い出。語学力も鍛えられました

同じ研究室だったインドネシア人留学生の結婚式二次会
(右から4番目が古館さん、一番左が齋藤先生)

応用自然科学科では、最初の1年間は自分の専門分野を決めずに総合的に基礎から学び、2年生から専門分野を決めて物理、化学、生物のいずれかを専攻し、学びを深掘りしていきます。自分の興味がどこにあるかじっくり考えた結果、物理系の、特にものづくりまで幅広く扱う精密を専攻しました。4年生からは研究室配属となりますが、大型放射光施設SPring-8で実験できるというところに魅力を感じ、桑原研究室を選びました。

研究室では、原子スケールでの元素分析に関する基礎研究をしていました。物質の表面の形状を原子スケールで測定できるSTM(走査型トンネル顕微鏡)という顕微鏡があるのですが、元素の特定まではできない。そこに放射光という強力な光を当てることで何の元素か識別できるようになります。STMと放射光の組み合わせによって新しい化学分析技術を開発しようという研究でした。

研究室の担当教員だった齋藤先生と学生3人で、兵庫県にあるSPring-8に10日間滞在して、夜通し実験したことは今も良い思い出です。桑原研究室にはインドネシアやタイからの留学生もいて英語の語学力を鍛えることもでき、非常に恵まれた研究環境でした。

まちづくり、ものづくりの分野で世界中の人々を支える

コマツを代表する油圧ショベルの一部が置かれた大阪工場のエントランス

基礎研究は、新たな知の発見や未来技術の開発を目指す、とてもやりがいのある研究ですが、仕事として選ぶなら、純粋な研究というよりは自分の知識や技術によって誕生した製品をお客さまに届ける、よりお客さまに近いところで働きたいなと考えていました。

父の仕事でマレーシアに住んでいたことがあり、将来は自分も海外で活躍したいという思いもあったので、グローバルに事業展開をし、その分野で日本のトップ、あるいは世界で戦える技術を持っている会社ということで、コマツを志望しました。

コマツは、油圧ショベルやブルドーザーといった建設機械、鉱山機械をはじめ、林業機械、産業機械など、まちづくりやものづくりの分野で世界中の人々を支える日本最大の総合建設・鉱山機械メーカーです。近年は建設機械の販売やメンテナンスだけでなく、自動化のお手伝いといった、ICT(情報通信技術)ソリューションの提供も積極的に行っています。
売上の8割以上を海外が占めるまさにグローバル企業で、技術者としてのやりがいも大きそうだなと思ったことも志望理由のひとつです。

技術を守ることは、製品をつくるのと同じくらい大切です

工場敷地内に展示されている世界最大級のブルドーザーは大迫力!

入社して6年ほどは製品開発に携わっていました。ブルドーザーに木の苗を植える機械を取り付けて、走りながら苗を植えて水やりをするといった、林業の自動化を図る製品を開発したり、油圧ショベルのバケットにつける爪の設計を新たに考えたり、全世界に展開するための製品開発に携わってきました。昨年(2022年)知的財産部へ異動となり、現在は特許に関わる業務を担当しています。

メーカーにとって、自社の技術を守ることは、製品をつくるのと同じくらい大切。設計者の開発技術を守るため、様々な角度からどうしたら特許につながるかを考えます。製品をつくる側からまもる側へ、業務内容はガラリと変わりましたが、様々な開発者の発明に触れることができて知的好奇心が満たされ、他社にはどういった技術があるかを知っておく必要もあるので、自身の感度も良くなり、毎日がとても充実しています。

研究室の3年間で養われた力が日々の仕事に活きている

阪大工学部に入っておけば、様々な選択肢があるので安心ですと古館さん

院生時代、齋藤先生はよく学生に向けて、「大学での学びが社会に出てそのまま活きることは少ないかもしれないけれど、阪大で学んだ考え方、ものごとの進め方は絶対に活きるから!」とおっしゃっていましたが、本当にその通りだったなと実感しています。自分の頭で考え、計画を立て、目標に向けて実行する、研究室の3年間で養われた力が日々の仕事に活きていると感謝しています。

僕自身がそうだったように、受験する時点でやりたいことが決まっていなくても心配はいりません。学びから就職先まで、阪大工学部には様々な選択肢が用意されているので、学生生活を送りながらやりたいことを見つけられると思います。


※写真撮影にあたり、感染対策を行った上で、マスクを外して撮影しています。

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