在学生・卒業生インタビュー

2021/01/08在学生

社会人博士として、もう一度、感性を研ぎ澄ませたい!

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「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学時代のお話や現在のお仕事についてなど、卒業生の沖 賢太朗さんにお話を伺いました。

大学院工学研究科
機械工学専攻 知能機械学部門 動的システム制御学領域(大須賀・石川研究室)
博士前期課程修了 沖 賢太朗 さん

現 オムロン株式会社 技術・知財本部勤務
2020年4月より 本専攻博士後期課程 機械動力学領域(石川・南研究室)に社会人博士として在学中

卓球ロボットに魅せられ、オムロン株式会社へ

6年前にオムロン株式会社(以降、オムロン)に入社して、産業用ロボットのソフトウエアの研究をしています。オムロンといえば一般的には体温計が有名ですが、実は産業用ロボットなどの工場向け機器の販売が売り上げの50%くらいを占めています。産業用ロボットとは、人間の代わりに工場での組み立てなどの作業を行う機械です。僕が担当しているのは自動車工場などで活躍しているアームロボットのソフトウエア開発です。

自律的な動作プログラムを生成してロボットに学習させ、その結果をロボットが自動的にセンサで感知して次の動作を考えるように制御します。それを何回も繰り返すことで、ロボットが自ら「感じ」「考え」「行動」できるようになっていく、つまりロボットをどんどん賢くさせていくという研究です。

オムロンを志望した理由は、卓球ロボットに関わりたいと思ったからです。ちょうど入社する1年前に初めて公開されたんですが、完全に魅せられました。もともと、展示会で製品アピールをするために作られたロボットで、新入社員はだいたい展示会中に卓球ロボットの相手をさせられるのが恒例です。僕も入社1年目の時に、展示会の会期中に対戦し続けて卓球のスキルはかなりアップしました(笑)。

入社3年目にしてロボットコンテストで見事優勝!

同僚と共にフューチャー・コンビニエンスストア・コンテストに参加

入社3年目の2017年には、計測自動制御学会主催のロボットコンテスト、「フューチャー・コンビニエンスストア・コンテスト」に参加しました。アームロボットや移動ロボットなど、産業用の研究用ロボットを組み合わせて挑み、陳列・廃棄部門で100点満点をとって優勝しました。

最近、新たに始まったのが、工場内を動き回ることができる移動ロボットの開発です。
オムロンの社内ではすでに様々なロボットが動き回っていますが、「人が飛び出てきた場合は、ロボットがどのようにして避けるか」「人が通り過ぎてからロボットが動くようにするにはどうしたらよいか」など、より賢い動作を行えるよう性能向上をはかっています。

いつか戦隊モノの巨大ロボットを作ってみたい!

阪大工学部のパンフレットに掲載されていた人型ロボを見て受験を決意したという、大のロボット好き。

小さな頃から図画工作とレゴが好きで、日曜の朝は必ず戦隊モノを観ているような子供でした。戦いが終盤になると、合体して巨大ロボットになるのですが、いつかはあれを作りたいと思うほど、ロボットが好きでした。

阪大工学部を志望したのは、パンフレットに「wakamaru」という黄色い人型ロボットが載っているのを見つけてしまったからです。wakamaruは、阪大の支援を受けて三菱重工が開発したコミュニケーションロボットですが、こういった開発に携われている大学なら、きっと良い大学なんだろうと思いました。
専攻は機械工学でいわゆるロボットの身体を作る勉強をしましたが、配属した研究室は「制御学」がメインテーマの大須賀・石川研究室だったので、ロボットの身体を作るというより、ロボットが人間の思う通りに賢く動くにはどうしたらよいかというロボットの頭脳について学びました。三脚歩行ロボット、空中泳動ロボットなどの研究をしていましたが、直属の指導教員だった石川先生は発想がユニークでフォローも手厚く、色々と助けていただきました。

大学院に進んでも、ものづくりとプログラミングの両方を学べたので、ロボットのベースは知り尽くしています。機械、プログラミング、制御、AIがわかる、色々なことに手の届く経歴を持てたのは強みですし、ロボットに何か問題が起きても、それがどこで発生してるのか、仮説を立てやすくなりました。

社会人博士として再び阪大で研究をスタート!

歩行ロボットの説明をしてくれる沖さん。非ホロノミックの制御から作ったロボットは「動力学目/非ホロノ科/三脚属」と、
まるで生物のように分類。一体ずつ名前も付いてます。

社会人になってアウトプットが続き、アイデアが枯渇気味になってきたこともあり、もう一度感性を研ぎ澄ませたいと思い、この4月からは再び、石川・南研究室に社会人博士として在籍し、お世話になっています。授業はほとんどなくて、基本的には9時から17時半まではオムロンで働き、それ以外は研究にあてるという生活です。以前に取り組んでいた三脚歩行ロボットの研究の延長として、空想生物のロコモーション(移動能力)について研究しています。

ディズニー映画『美女と野獣』に出てくるカップや時計のように、生物ではないのに生物っぽく見える動きを探したり、ギリシア神話に登場する半人半獣のケンタウロスやペガサスが実在したらどのような足の動きをするかといったことを真面目に考えています。空想生物の身体の動きを巧く利用することでソフトウエアを簡単にできないか、ロボットの身体を重視しながら制御を考えるという切り口もおもしろく、僕の作るロボットにも、本当の生物のような滑らかな動き、賢さを取り入れたいと考えています。普段の仕事と直接リンクはしていませんが、この研究室にいると色々なアイデアが湧きそうな気がして、ワクワクします。

豊かな学びを求める学生にぜひ来て欲しい!

「自分の作りたいものがあれば、授業の受け方も変わり、学ぶ原動力になります」と沖さん

僕自身は「ロボットが作りたい」という思いで阪大を選んで,実際に阪大で学べて大満足ですが、「まだ作りたいもの,やりたいことがはっきりしない」と悩みつつ阪大を選ぶのも良いと思います。阪大工学部には色々な面白い先生や学生がいるので、入学後にいろんな人と話して考えるうちに,これがやりたい!という目標が見つかるハズです。自分の作りたいもの,やりたいことといった目標があれば、授業の受け方が変わるし、自ら学ぶ原動力にもなります。僕もまだまだ学びの最中ですが、豊かな学びを求める学生にはぜひ来て欲しいです。

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