在学生・卒業生インタビュー

2023/01/20在学生

理数系科目に苦手意識があっても、好きなことだったら続けられる

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「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学での学びやこの学部を選んだ決め手、入学してよかったことなど、宇田 卓正さんにお話を伺いました。

応用理工学科卒業
機械工学専攻 
人間支援工学領域 井野研究室
博士前期課程1年 宇田 卓正さん

様々な考えの学生と意見を擦り合わせ、かたちにしていくのが面白い

同級生とのグループワークの授業が楽しかったという宇田さん

阪大工学部の応用理工学科では、最初の1年間は共通科目を中心に学びます。2年生からは機械工学科目とマテリアル生産科学科目に分かれ、各学科目が設定したコースを履修することになります。僕が選択した機械工学科目では、原子・分子レベルでの物質から、自動車・ロボット・航空宇宙機器などの巨大な人工物まで、広範な分野を対象としているので、自分のやりたいことは必ず見つかると思います。

入学するまでは、阪大はめちゃくちゃ真面目な学生が多いと思っていましたが、遊ぶ時には遊んで、勉強する時には勉強する、メリハリのある学生が多くて驚きました。

学部生の頃に楽しかったのはグループワークを主とした実習です。機体をどこまで高く跳ばせるかを競うプロジェクトでは、発射台などは作らず、機体そのものを跳ばすという条件があったので、僕らのグループはバネの伸縮性を使って跳ばしました。他には、ゴムを使ったり、ドローンを使っているグループもありました。様々な考えを持つ学生と同じチームになって四苦八苦しながら意見を擦り合わせて、かたちにしていく過程はとても面白かったです。

医学と工学を組み合わせ、世の中に役立つものづくりをしたい

井野研究室のメンバー(左から3番目が宇田さん。手前右が井野先生)

医療系の授業もすごく印象に残っていて、医療従事者ではないから医療行為はできないけれど、工学の技術を使って間接的に人を支えることが出来ると知りました。医学と工学を組み合わせて世の中に役立つものづくりをしたいとの思いが強くなり、「人間支援工学」をキーワードに掲げる井野研究室に入りました。

2021年にできたばかりの新しい研究室で、同期は僕を入れて3人です。人の身体の動きや反応を主軸とした研究が行われていて、一般的な機械工学では思いつかないようなアイデアが研究に盛り込まれているのがとても面白く、1期生っていう響きも気に入っています。

井野先生は阪大に着任される前は、産業技術総合研究所にいらしたこともあって交友関係が広いというか、機械工学に限らず、様々な研究分野に知り合いがいらっしゃいます。阪大以外の研究室や研究機関の方々の話を聞けるので、視野が広がってものすごく勉強になっています。

研究テーマは、体を傷つけない非侵襲検査方法の確立

非侵襲検査の研究をしている宇田さん。指先を通して閾値(いきち)を計測し身体の状態を読み取るので、体を傷つけることはありません

今は、糖尿病の早期発見や診断の簡便化を促進するデバイスの研究開発に取り組んでいます。僕が糖尿病への工学的なアプローチを研究テーマに選んだのは、糖尿病で足を切断しないといけなくなった祖父を間近で見ていたからです。

抹消神経がやられると手足の切断、網膜をやられると失明、腎臓がやられると透析と、糖尿病は合併症が非常に怖い病気ですが、本人が気づく前に進行することが多いので、手遅れになる前になんとかしたいという思いがありました。

採血などの検査によって、ある程度の進行度はわかるのですが、痛みが伴う検査は億劫になりがちで、それが嫌で検査を受けない人もいます。体を傷つけない非侵襲検査というのが僕の研究テーマになっていて、検査に対して億劫にならない日常的な検査方法を確立したいと思っています。

具体的には特殊なパネルに指先を置いてもらい、そのパネルの微小な動きを感じるか感じないか、閾値(いきち)を計測して、そこから身体の状態を読み取ります。閾値とは、ある作用によって身体に反応が起こる場合、その反応を起こすのに必要な刺激の最小の強度のことです。健常である方とそうでない方の閾値の違いを見て、統計的に解析することで、簡易的な検査法として確立することを目指しています。

将来についてはまだ悩み中ですが、今の研究が医療系の研究なので、人の生活に直接的に関わる分野である、医療機器メーカーやインフラなどを視野に入れています。

阪大工学部を目指そうと思ったのは高校3年生の夏

暗記系の科目が得意でしたが、阪大工学部を目指して猛勉強しましたと当時を振り返る宇田さん

僕が工学部を目指すようになったきっかけは、保育園の時に読んだ絵本です。少年が置き時計を自作するんですが、最初は周りの友達や親から反対される。それでも、あきらめずに他に協力してくれる人を見つけて、最後には色々な種類の時計をつくりあげるというストーリー。その絵本を読んで、漠然とものづくりへの憧れが出来ました。

高校3年生の夏までは他の国立大学を第一志望にしていましたが、試しに模試の志望校欄に大阪大学って書いてみたら、圏外ではないと言うことがわかりました。そこから俄然やる気に火がついて、1年浪人してでも、せっかくなら上を目指そうと決心しました。

暗記系の科目が得意だった一方で、理数系科目の点数は決して良くなかったのですが、ものづくりを学びたい一心で受験勉強を頑張りました。

受験勉強だけでなく、高校生活も思いっきりエンジョイして欲しい!

研究室のメンバーで訪れた御在所岳での記念ショット

僕のように、文系科目が得意で理数系科目に苦手意識があっても、研究内容に興味があれば何とかやっていけます(笑)。好きなことだったら続けられるし、きっちり4年で学部を卒業できたので、受験生の皆さんには心配しなくてもいいよと言いたいです。

最後に僕が伝えたいのは、「高校生である」ことを楽しんでほしいということです。例えば高校3年生の夏っていうと、受験生にとって大事な時期だと思いますが、僕自身、運動会でやぐらを組み立てたり、応援団をしたりと、高校最後のイベントをめいっぱい楽しんで良い思い出ができました。受験生の皆さんには勉強だけじゃなくて、学校行事にもちゃんと参加して、その時しか味わえない高校生活を思いっきりエンジョイして欲しいです。

※写真撮影にあたり、感染対策を行った上で、マスクを外して撮影しています。

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