在学生・卒業生インタビュー

2020/02/20OB・OG

阪大工学部で学び、世界で戦える人材へ。

twitter facebook

「応用自然科学科」「応用理工学科」「電子情報工学科」「環境・エネルギー工学科」「地球総合工学科」の5つの学科からなる大阪大学工学部には、めっちゃ個性あふれる多彩な人材が集まっています。
大学時代のお話や現在のお仕事についてなど、卒業生の深田 洋輔さんにお話を伺いました。

応用自然科学科卒
ビジネスエンジニアリング専攻
テクノロジーデザイン講座(上西研究室)修了

現 YOYOホールディングス CEO
深田 洋輔さん

大阪は異文化を受け入れる懐の深さがある。 そんなまちもひともめっちゃ好き!

いまは仕事でフィリピンに住んでますが、もともとは名古屋生まれの千葉育ちで、高校から関西圏に引っ越しました。親が転勤族だったので地元というのがなかったんですが、大阪は異文化を受け入れてくれる懐の深さがありますよね。関東では、ひとと違うとネガティブに目立っちゃう傾向にあるけど、関西だとそれが「お前、おもろいな!」って捉えてくれるのが心地よかった。東京の人は高いものを自慢するのに関西人は逆っていうのもおもしろい。「これいくらやったと思う?」「たったの100円やで!」みたいな。そういうカルチャーも含めて、大阪のまちもひともめっちゃ好きになりましたね。

理系の学生は総じてのんびりしすぎ!?

部活のみんなと阪急石橋駅前にて集合写真。前列二列目、一番左が深田さん。

阪大工学部を選んだ理由は、正直、偏差値的なものもありましたけど、当時まだやりたいことが定まってなかった自分にとって、広く浅く基礎を学んでから、生物、物理、化学のいずれかに専門分野を絞り込める「応用自然科学科」が魅力的だったから。そこから生物工学コースに進んで、学部生の頃は乳酸菌のDNAを解析したりしてました。
でも、理系の学生って文系と違って、ほとんどの学生が大学院に進学する前提でものごとが進んでいくから、いい意味でも悪い意味でものんびりしてる。ぼくも最初はそうだったけれど、一流のビジネスマンやベンチャー経営者など、社会で活躍されているさまざまなひとと出会い、話を聞いているうちに焦りを感じ出して、そこから自分のキャリアについて深く考えるようになりました。

2つの修士号が取得できる めっちゃおトクな「ビジネスエンジニアリング専攻」

シリコンバレー研修で訪れたアップル社の前で仲間と記念撮影

そんなときに知ったのが「ビジネスエンジニアリング専攻」です。大学院で自分の専門領域の研究を行いながら経営学を学べ、3年間で工学修士と経営学修士の2つの修士号が取得できるというものです。バイオテクノロジーは楽しくてもっと勉強したい。でもビジネスについても勉強したい。そんな僕にうってつけの、めっちゃおトク!な専攻でした。
そうして、理系と文系の両方を勉強したうえで、じゃ社会にどうやって貢献していけるだろうと考えたとき、貧困問題に取り組みたいと思いました。

テクノロジーを通じて貧困問題解決へ。 YOYOホールディングスを創業!

フィリピンでボランティアをしていた頃の深田さん

貧困問題に興味を持ったのは、当時、阪大の職員をされてた社会起業家の方との出会いがきっかけです。民間企業が着手しない、ビジネスとして成立させるのが難しい社会問題に取り組み、困っているひとを助けることに情熱をかける姿に心を動かされました。
ぼくの尊敬するひと、バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス博士の影響もあります。貧しい人々の自立を支援するための小口融資(マイクロファイナンス)のシステムを確立し、グラミン銀行を創設、2006年にはノーベル平和賞を受賞されています。
「自分も何かひとの役に立てないだろうか」と考え抜いた結果、テクノロジーを通じて貧困問題を解決したい!という思いに至りました。でも、ビジネスを立ち上げるのに必要な知識も資金もない。そこで就職先に選んだのが株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)でした。

総合IT企業で、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったDeNAを選んだ理由はシンプルです。もっともハードに働ける環境に身を置くことで、短期間で成長できると思ったからです。就職後は、営業、マーケティング、システム開発といったさまざまな立場で、eコマースの担当をしていたんですが、自主的に寝袋を持ち込んで深夜まで働いたり、とにかく仕事が楽しくて仕方ありませんでした。働き方、考え方といった根っこの部分はすべて最初の1年で学びとった気がします。今でも当時の仲間や上司と仲はいいし、正直、やめる理由はひとつもなかったんですけど、自分のやりたいことの実現のため、3年3ヶ月でDeNAを退職してすぐフィリピンに渡りました。

インターネットの無料化を実現し、 約300万人のユーザーを獲得!

会社メンバーとの集合写真。なんと日本人は深田さんひとり。あとの従業員はほぼローカル採用。

とはいえ、現地に知り合いが住んでいる訳でもなかったので、最初の半年ほどは、セブ島の英語学校にインターンとしてお世話になって、現地に溶け込み、文化にふれ、英語力を磨きました。現地のリアルな暮らしを体験したおかげで解決すべき課題も見つかり、2012年10月にシンガポールで起業、 YOYOホールディングスを立ち上げました。

当時、フィリピンをはじめとする新興国では携帯電話の支払いは「プリペイド式」になっていました。その日使う分だけの通信料金を事前に購入し、通話やメールで使い切ってしまう。せっかくスマートフォンを持ってもインターネットに繋がっていない状態でした。もし、インターネットを利用できたら、教育、医療情報、エンターテインメントなど、さまざまな情報にふれることで選択肢は広がり、新興国の人々の暮らしは変わるはず。じゃ、ぼくたちが提供すべきなのは、お金ではなく機会(チャンス)。その機会(チャンス)を与えられる一番の方法がインターネットへの無料アクセスでした。

そこで、フィリピン、インドネシア、ベトナム、インドの4ヶ国で、プリペイド式携帯電話の通信料金を報酬とする広告アプリ「PopSlide」を展開しました。携帯電話のロック画面に企業の広告を表示させ、スライドして解除した際に報酬としてアプリ内のポイントが貯まり、そのポイントを通信料金の支払いに充てることができます。これにより、ユーザーは無料でインターネットが利用できるようになり、スポンサー企業は多くの消費者向けに広告を配信できるようになりました。

マイクロインフルエンサーを活用した新サービスを展開! たった1年でフォロワー総数は4億人以上!

笑顔がとっても素敵な従業員の皆さんと深田さん。職場の楽しい雰囲気が伝わってくるよう。

そうして数年間事業をやった結果、約300万人のユーザーを獲得、データ量に換算すると一人当たり1ペタ以上のデータを配ったことになります。ギガのうえがテラで、テラのさらにうえがペタですから、ものすごい量ですよね。だけど、新興国は変化のスピードもはやいので、ここ数年で携帯電話料金がぐんと安くなり、Wifi環境もよくなって、市場情勢が変わってきました。
じゃ次にぼくたちが価値を提供できるものはなんだろう?ということで新たに立ち上げたサービスが、マイクロインフルエンサーを活用した「PopStar」です。
有名人ではないけど、ソーシャルメディア上である程度影響力のあるひとをマイクロインフルエンサーとして登録し、「こんなインフルエンサーを集めてこんなキャンペーンをしませんか?」と広告主に提案をしています。この1年間で20万人のマイクロインフルエンサーを集めましたが、彼らのフォロワー総数はすでに4億人以上にのぼります。

「Where parties start」をめざして奮闘中! 阪大工学部で学び、世界で戦える人材になってほしい!

YOYOホールディングス社内での会議風景。

社内で従業員に対して心がけていることは、「とにかく褒めまくる!」です。日本にいるときはとことん厳しく理詰めで接するタイプでしたが(笑)、それじゃこっちではうまくいかない。基本的なスタイルは、寄り添う・話を聞く・応援する。フィードバックはするけど決して怒らない。みんなには「Where parties start」(パーティーがはじまる場所)って言ってるんですけど、心地よく楽しく、才能とやる気を最大化させ、みんながハッピーになれる職場をつくれるよう心掛けています。
将来は会社をもっと大きくして株主に還元したいという思いもありますが、まずは僕自身が成功のロールモデルになって、「あの人でも成功できたんだからできるはず!」と、海外で挑戦してくれるひとが増えれば嬉しいです。
ぼく自身がそうだったように、大学受験の際にやりたいことが定まっていなくても大丈夫!阪大工学部には、入学後に学びを深化できる幅広い選択肢があり、大学院には「ビジネスエンジニアリング専攻」のような、研究に対する知識と経営センスの両方を磨ける専攻もあるので、ぜひ阪大工学部で学び、世界で戦える人材になってほしいですね。

最近の記事