学部長/研究科長挨拶・理念・組織・沿革

学部長/研究科長からのメッセージ

大阪大学大学院
工学研究科長

馬場口 登

 「工」という漢字は、2本の長短の横ストロークと1本の縦ストロークからなる極めて単純な構造をしていますが、上の横ストロークが天の理、下が地の万物を、そして縦ストロークがその天と地の橋渡しを、それぞれ表しているという説があります。「工学」とは、まさにその文字が示す通り、自然の摂理を参照しながら人間社会で役に立つモノやコト、場を作り出す学問なのです。近代的な科学が成立した17世紀以降、科学技術は飛躍的に進歩しました。とりわけ、20世紀半ばのコンピュータの誕生は世の中の変貌を著しく加速させ、「工学」は今や超スマート社会の扉を開けようとしています。

 大阪大学工学部は、2016年に創始120周年を迎えました。創始以来、工学分野の根幹をなす学科に加え、日本で初めての学科を先駆けて設置するなど、独自の視点で将来性の高い分野を切り拓いてきました。現在では、応用自然科学科、応用理工学科、電子情報工学科、環境・エネルギー工学科、地球総合工学科の5学科で毎年、820名に及ぶ入学者を迎えるに至り、我が国有数の工学部に発展しております。

 大学院組織である工学研究科は、大学院重点化の大改革を経て、大学における教育研究の中心となりました。現在は9専攻と6附属センターからなる陣容を誇り、170を超える多様な研究室は、現代社会のあらゆる分野に対応しています。博士前期課程には、811名の学生を受け入れ、そのうちの8割強は本学部から進学しています。また、博士後期課程では50カ国を超える海外からの留学生も加わり、教員と大学院生が一丸となって、世界の頂上を目指し、日々研究に邁進しています。

 工学部/工学研究科は、「産学連携」を旗色とし、新しい価値を創出する「イノベーション」の基礎を涵養するための教育研究を探索してきました。本研究科を語る上で欠かせないものに、共同研究講座と協働研究所があります。特に前者は、今や全国の大学に普及していますが、本研究科が日本で最初に発案した組織で、企業とアカデミアの研究融合、Industry on Campusという着想、考え方の先見性と卓越性は特筆すべきものです。この2つの組織並びに各専攻を基軸に「産学連携」を積極的に展開することにより、研究成果やリーダー人材の育成と輩出に大きな足跡を残し、各方面から非常に高い評価を受けています。さらに最近、テクノアリーナと名付けた柔構造の拡大連携型教育研究体制を新たに発足させ、喫緊の社会課題に挑戦しつつあります。

 大阪大学は、2018年に指定国立大学となり、社会変⾰に貢献する世界屈指のイノベーティブな⼤学となることを標榜しています。工学部/工学研究科はその先頭に立ち、Innovation on Campus together with Industryを実践し、超スマート社会のその先、さらに先、を目指していきます。

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基本理念

大阪大学大学院工学研究科は、

輝く One & Only の個の集まりで、世界に羽ばたくNo.1の工学研究科の構築

を目指し、三つの目標(GSE-ヴィジョン) :

Guarantee
「信頼を保証する教育」
Superiority
「追随を許さない知の創造の増進」
Evaluated
「評価を受ける教育研究活動による社会への貢献」

をもつ組織として、
以下の理念のもとに行動することを宣言いたします。

○信頼と責任ある教育(教育責任)
知を生む創造環境(知の創造・融合)
○組織を超えた積極的な連携(協調・協働)
○先進的創造科学の増進(高度な専門性)
○多様な評価と活性化(多様性と自己啓発)
○使命感を持った社会貢献(社会への責任)
○世界に雄飛する工学研究科(社会のリーダー、高い指導力)

組織

沿革・特徴

創始120周年を迎えた工学部

大阪大学が地域と深い係わりを持ちながら発展してきたように、工学部もその母体である大阪工業学校以来、大阪の地域社会や地場産業とともに発展・拡充してきました。

本学部の歴史は、明治29年(1896)大阪市北区玉江町に大阪工業学校が創設されたことに始まります。商業はもちろん、紡績・造船などの工業においても急速な発展を遂げつつあった大阪は、官民あげて工業学校の設立に取り組みました。この時から数えて、平成28年(2016)には創立120周年を迎えました。

昭和4年(1929)には、大阪工業大学として発足。昭和6年(1931)に大阪帝国大学が発足したのを機に、2年後には大阪工業大学も大阪帝国大学に編入され、大阪帝国大学工学部になりました。当時は6学科でのスタートでしたが、その後も産業界の要求と将来の発展性を見越して、精密、通信、溶接など他の帝国大学にない学科を次々に設置し、現在の工学部の基礎を固めてきました。

第二次世界大戦で校舎の大部分を焼失したものの、昭和22年(1947)に大阪大学工学部に名称を変更、昭和24(1949)年には新制大学のもとに再スタートを切りました。以降、組織や施設の拡充を行い、昭和45年(1970)に、現在の吹田市山田丘の吹田キャンパスに移転を完了しました。吹田キャンパスは、今も国立大学の中でも有数の充実した教育環境だと評価されています。

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大学院改革と学科の再編

平成6年(1994)には教養部が廃止され、工学部4年間の一貫教育へと移行し、平成7年(1995)からは大学院をより充実させるための改革を進めました。この改革のポイントは、学部に所属して大学院を兼担していた教官群を大学院所属とし、大学院での教育、研究をより充実させ、広い視野に立って学部教育を行うことにあります。

平成7年(1995)から平成10年(1998)にわたって段階を踏みながら学科の再編と大学院教育の仕組みを整備し、平成10年までに、工学部の大学院重点化を完了させました。

工学部の特徴

こうした歴史と大学院改革の経緯をもつことから、本学部はいくつかの伝統的な特長を持っています。

●産業界から望まれて誕生した学部
第一に、実学的伝統をもつことです。
東大、京大のように最初から中央政府の計画に基づいて創立されたものでなく、本学部の前身である大阪工業学校が当時の産業界と行政との強力な推進によって設立された、創設時の伝統を今も受け継いでいます。

他大学にはない多彩な学科を持つ
第二は、ユニークな学科の存在です。
本学部は醗酵、溶接、通信、環境など特色ある学科を全国に先駆けて創設しました。これは大阪という比較的自由な雰囲気を持った土地柄や、地場産業と深く関わりながら発展して来た経緯が、オーソドックスな学部構成にこだわらないユニークな学科を誕生させたのです。しかも学科名も型にはめず、研究・教育内容の変更とともに、名実ともに内容を絶えず改めていく先進的な気風にあふれています。

●地域や行政との太いパイプがある
第三は、地域社会および行政との密接な協力関係です。
自治体や商工会議所等との産官学連携活動の推進など種々の機会をとらえて、常に地域社会との関連を重視しています。

工学部の歩み


大阪工業学校(正面が本館

大阪高等工業学校校門

大阪工業大学

大阪帝国大学工学部正門

大阪大学吹田地区全景
1896年(明治29年)
官立大阪工業学校創設(大阪市北区玉江町及び中之島)
機械工芸科・化学工芸科
1899年(明治32年)
船体科
1901年(明治34年)
大阪高等工業学校と改称 機械工芸部・化学工芸部・造船部
1908年(明治41年)
電気科
1922年(大正11年)
大阪市都島区東野田に移転完了
1929年(昭和 4年)
大阪工業大学に昇格
1931年(昭和 6年)
大阪帝国大学創設 医学部・理学部
1933年(昭和 8年)
大阪帝国大学に編入・工学部となる機械工学科、応用化学科
醸造学科 → ‘43醗酵工学科 → ‘91応用生物工学科
冶金学科 → ‘73冶金・金属材料工学科 → ‘75改組
造船学科 → ‘89船舶海洋工学科
電気工学科
1937年(昭和12年)
航空学科 → ‘46工業力学科 → ‘48廃止
1939年(昭和14年)
精密工学科
1940年(昭和15年)
通信工学科
1944年(昭和19年)
溶接工学科 → ‘87生産加工工学科
1945年(昭和20年)
戦災により校舎の大半を焼失
1947年(昭和22年)
構築工学科 → ‘66土木工学科/建築工学科
大阪帝国大学を大阪大学に改称
1949年(昭和24年)
新制4年制大学発足
1953年(昭和28年)
旧制大学廃止
新制大学院工学研究科設置
機械工学、応用化学、醗酵工学、冶金学、
造船学、電気工学、精密機械学、応用物理学、
通信工学、溶接工学、構築工学の11専攻
1957年(昭和32年)
原子核工学専攻
1958年(昭和33年)
電子工学科
1960年(昭和35年)
機械工学第2学科 → ’61基礎工学部機械工学科
1962年(昭和37年)
原子力工学科
1963年(昭和38年)
応用物理学科
1966年(昭和41年)
産業機械工学科
1967年(昭和42年)
超高温理工学研究施設 → ’03改組
1968年(昭和43年)
環境工学科
1969年(昭和44年)
石油化学科→ ’83応用精密化学科
熔接工学研究施設→ ’72熔接工学研究所 → ’96接合科学研究所
1970年(昭和45年)
吹田市山田上へ移転完了
1972年(昭和47年)
環境工学専攻
レーザー工学研究施設
→ ‘76レーザー核融合研究センター
→ ‘04レーザーエネルギー学研究センター
→ ‘17レーザー科学研究所
1975年(昭和50年)
冶金工学科
→ ‘88材料開発工学科
金属材料工学科
→ ‘88材料物性工学科
1978年(昭和53年)
微生物工学国際交流センター
→ ‘85生物工学国際交流センター
1980年(昭和55年)
超電導工学実験センター
→ ‘89超伝導工学実験センター
→ ‘90超伝導エレクトロニクス研究センター
→ ‘00超伝導フォトニクス研究センター
→ ‘04レーザーエネルギー学研究センターと統合
1986年(昭和61年)
電子制御機械工学科
1989年(平成元年)
情報システム工学科
1995年(平成 7年)
大学院重点化に向けて工学部の改組・再編始まる
応用自然科学科(←応用化学、応用精密化学、応用生物工学、精密工学、応用物理学)
1996年(平成 8年)
電子情報エネルギー工学科
1997年(平成 9年)
応用理工学科(←機械工学、材料開発工学、材料物性工学、生産加工工学、産業機械工学、電子制御機械工学)

大学院重点化整備完了

1998年(平成10年)
地球総合工学科(←船舶海洋工学、土木工学、建築工学、環境工学)
2001年(平成13年)
超精密科学研究センター
フロンティア研究機構 → ‘06フロンティア研究センター → ‘16改組
2003年(平成15年)
原子分子イオン制御理工学センター → ‘13改組
2005年(平成17年)
大学院工学研究科10専攻に改組
2006年(平成18年)
電子情報工学科(←電子情報エネルギー工学科)
環境・エネルギー工学科
2007年(平成19年)
サステイナビリティ・デザイン・オンサイト研究センター
2008年(平成20年)
高度人材育成センター
→ ‘16改組 構造・機能先進材料デザイン教育研究センター
2013年(平成25年)
アトミックデザイン研究センター
2016年(平成28年)
オープンイノベーション教育研究センター→ ‘20改組
2017年(平成29年)
フォトニクスセンター
2020年(令和2年)
大学院工学研究科9専攻に改組
フューチャーイノベーションセンター