お知らせ
緒方准教授が研究代表者を務める課題提案が「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」に採択され、次世代地熱発電を推進する大学発スタートアップの立ち上げを目指します
工学研究科附属フューチャーイノベーションセンター/地球総合工学専攻の緒方准教授が研究代表者を務める、大阪大学と京都大学の共同研究グループによる課題提案「地熱発電の拡大に向けた坑井刺激型地熱開発の社会実装」がJST・ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)事業に採択されました(2025年10月採択)。本事業には地球総合専攻の野村特任研究員が経営者候補として参画し、大学発スタートアップの立ち上げを目指した研究開発とビジネスモデルの構築に取り組んでおります(写真1)。
本事業は研究開発のディープテック・スタートアップとしての社会実装を支援するプログラムで、最長3年間・総額3億円程度の支援が受けられます。なお、本学が研究代表機関を務める課題提案としては本事業における初の採択課題となります。
本研究グループは、次世代地熱開発に関する研究開発を進めています。従来の地熱開発では、地熱の3要素と呼ばれる、「熱」・「水」・水が溜まるための亀裂の集合体である「貯留構造」の3つが揃う場所を掘削により掘り当てる必要があります。1本の井戸の掘削には15億円規模のコストを要する一方で、初期の掘削成功率は30%程度に留まっており、事業者の投資を難しくしておりました。また、生産する井戸が掘り当てられた場合でも、時間と共に生産量が減衰するリスクを抱えています。さらに、開発適地も限定的となることで、温泉地との競合が生まれ、地熱開発の拡大を難しくしておりました。
これに対し、本研究グループはシェールガス開発等で開発された坑井刺激技術を地熱に転用する技術開発をしております。本技術は、井戸に流体を圧入し、亀裂(先述の地熱の3要素のうちの貯留構造)を人工的に造成する施工技術です。本技術を地熱に転用することで、先の課題を緩和し、地熱開発を大幅に拡大させることを目指しております(図1)。
国内のフィールドに適用可能な坑井刺激技術を開発する上では、火山地帯の天然亀裂を含む複雑な地層条件の考慮や、米国で有効性が報告されている亀裂支持材などの国内の地熱環境における有効性を検証する必要がありました。本研究グループは、熱環境を再現したラボ実験技術、高精度なシミュレーション技術(図2)、現場のモニタリング技術等の独自かつ当該分野で最先端のディープテックを組み合わせることで、国内フィールドへの適用性の高い最適な坑井刺激技術の開発を実現します。
D-Global事業において、エネルギー分野では本テーマが初の採択となります。日本には世界3位の地熱資源が存在すると推定されておりますが、現時点での発電量は電源構成の0.3%と非常に低い水準に留まっております。本技術の社会実装により、国内の地熱資源をフル活用し、国内のエネルギーミックスに貢献する事業を推進することを目指します。



(左から2番目・3番目が本学所属の緒方准教授と野村特任研究員,左端が京都大学の澤山助教)
関連情報のリンク
・D-Global HP
・緒方准教授 研究室 HP
・Quon Energy HP