閉じる

研究成果 【プレスリリース】レーザーで創るミニチュア宇宙

大型レーザーを用いて宇宙の現象を実験室で模擬する実験室宇宙物理は、大阪大学で生まれ、現在では世界中で研究されるようになりました。実験室宇宙物理は、レーザー、実験室プラズマ、宇宙空間プラズマ、天文、核物理、物質科学に跨る学際的な研究領域です。
研究の遂行には内外の様々な研究者と共同研究を進める必要があります。日本語と英語でのコミュニケーション能力は、現代のインパクトの高い研究の遂行には必要不可欠なものです。本研究も例外ではなく、内外の様々な分野の多くの共同研究者との国際共同研究の成果となります。境健太郎さんは、博士後期課程の学生ながら、世界中の研究者と共同研究を行い、今回の成果をまとめています。

計測器のアライメント中の筆頭著者の境さん(博士後期2年)。大阪大学レーザー科学研究所の大型レーザー、激光XII号ターゲットチャンバー2での実験風景。
境さん(左)とフランスから実験に参加した共著者のMichel Koenig博士(右、LULI, Ecole Polytechnique)。世界でも数が限られている大型レーザーを使った研究は、必然的に国際共同研究となります。

本研究チームの蔵満康浩教授によるエピソードを紹介します。

フランスとの国際共同実験で、フランスチームが1ショットを残して、全ての必要なデータを取りつくしたことがありました。最後のショットに何を撃つかフランスチームが議論していた際、境さんが自分のターゲットを打たせて欲しいとフランス人と交渉し、電子駆動磁気リコネクションのレファレンスデータを取得することに成功しました。これが、今回の研究成果につながっています。
最近は、日本は技術はあるが国際的なプレゼンスが低いだとか、先進国の中で唯一競争力が下がっているとか、ネガティブなニュースが聞こえてきますが、大阪大学では国際的に活躍できる人材が成長できる環境が揃っています。
激光XII号レーザーは、世界の大型レーザーの中で最も古く、アメリカや欧州の最新のレーザーに比べスペック的にも大きく見劣りします。このような厳しい状況の中でも、独自のアイディアと着眼点があれば、まだまだ世界と競争していけると考えています。

ターゲットチャンバーと計測用光学素子。100メートル級のレーザービームラインから、最終的にこの真空容器の中心に100ミクロン(10^-6 m)のサイズにレーザーを集光し、固体ターゲットに照射する。生成されたプラズマを、ナノ秒(10^-9秒)の時間精度で計測する。

Scientific Reports

蔵満研究室