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研究成果 【プレスリリース】励起一重項と三重項のエネルギー逆転を実現 〜フントの規則を破る新しい有機EL材料として期待〜

 1925年にドイツの物理学者フリードリヒ・フントは「同一の電子配置において、最大のスピン多重度を持つ状態が最低エネルギーを持つ」という経験則を提案しました。このフントの規則は、多電子原子や分子の基底状態および励起状態において広く成り立ちます。例えば、これまでに合成された数多くの有機物の三重項励起状態は、一重項励起状態よりエネルギーが低く、両状態のエネルギー差は正であることが知られています。
 本研究では、フントの規則に基づく常識を覆す負の一重項–三重項エネルギー差(–11ミリ電子ボルト)を持つ有機発光材料の開発に成功しました。この負のエネルギー差に由来して、本材料の三重項励起状態は速やかに一重項励起状態、そして光子に変換され、その遅延蛍光寿命はわずか217ナノ秒(ns、1nsは10億分の1秒)に到達しました。
 本研究は、科学雑誌『Nature』(9月14日号)に掲載されました。

開発した材料の溶液中の発光写真(左)と分子構造(白:水素、グレー:炭素、青:窒素、赤:酸素、水色:フッ素)

論文掲載元webサイト

研究室のwebサイト(応用化学専攻 中山研究室)

研究者のwebサイト(応用化学専攻 相澤直矢助教)