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研究成果 【プレスリリース】小惑星リュウグウの石の平均的元素組成を決定―素粒子ミュオンを用いた非破壊元素分析―

 大阪大学放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センターの二宮和彦准教授、邱奕寰特任研究員(常勤)、大学院理学研究科の寺田健太郎教授は、 「はやぶさ2」初期分析「石の物質分析チーム」(代表 中村智樹 東北大学教授)にミュオン分析チームとして参加し、小惑星リュウグウの石に対して、素粒子であるミュオン(ミューオン、ミュー粒子ともいう)を用いた元素分析を行い、その元素組成を非破壊で決定することに成功しました。ミュオンを用いた元素分析法は、研究グループが世界に先駆けて開発してきた新しい分析手法で、生命の材料物質である炭素、窒素、酸素といった軽い元素を非破壊で調べることができます。

ミュオン元素分析によるリュウグウの石の分析の概要。本研究では、リュウグウの石を地球の大気に触れさせることなく、非破壊で内部に含まれる元素を分析しました(リュウグウの石の画像:🄫JAXA)。


 分析の結果、リュウグウの石は太陽系の元素組成と最も近いと言われている隕石、CIコンドライトと近い組成であることが分かりました。一方で酸素の含有量がCIコンドライトと比べて明確に少ないことも分かりました。この研究成果により、今後太陽系固体物質の元素組成の基準が新しく書き換わる可能性があります。
 本研究成果を含む「石の物質分析チーム」による研究成果は、日本時間9月23日(金)午前3時にアメリカ科学振興協会(AAAS)サイエンス(Science)誌に掲載されました。「石の物質分析チーム」による研究成果の全容については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)よりプレス発表が行われました。

ミュオン分析チームと今回の研究で開発したリュウグウの石の分析のための測定システム

JAXAによるプレスリリース

高エネルギー加速器研究機構によるプレスリリース