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研究成果 【プレスリリース】レーザーが咲かせる氷の花 ―氷の結晶を狙った時間・場所に発生させるための新技術―

 大阪大学大学院工学研究科の吉川洋史教授、大学院生の高橋秀実さん(博士後期課程:日本学術振興会特別研究員DC1)、奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科の細川陽一郎教授らの研究グループは、レーザー技術を駆使することで、様々な形状の氷結晶の発生を精密に時空間制御できることを明らかにしました。

 氷の結晶化は、我々が日常的に目にする自然現象であり、そのメカニズムを解明することは様々な科学・工業分野における重要課題です。しかし、通常の結晶化現象はランダムに起こるため、氷の結晶が発生する時間や場所を予測して精密計測することは原理的に困難であり、氷結晶化のメカニズム解明における大きな壁となっていました。

 研究グループは、氷点下の水(過冷却水)の微小空間を極短時間だけレーザーにより刺激することで、氷の結晶が発生する時間・場所を精密に制御できることを見出しました。さらに本手法を駆使することで、様々な形の氷結晶が発生する瞬間を、マイクロ秒・マイクロメートルオーダーの高い時空間分解能で捉えることに成功しました。これにより、氷結晶化の詳細なメカニズムに迫ることが可能になり、氷が関与する様々な自然科学分野(例:気象学、地球・惑星科学、低温生物学)や工業分野(例:食品・細胞・臓器の冷凍保存)の発展への貢献が期待されます。


 本研究成果は、米国化学会の速報誌「The Journal of Physical Chemistry Letters」に、5月8日(月)21時(日本時間)に公開されました。なお本論文は同誌のSupplementary Cover Artにも選ばれています(下図)。

レーザーにより生み出される氷結晶のイメージ(Supplementary Cover Artに採択)

大阪大学工学研究科物理学系専攻・吉川研究室

「The Journal of Physical Chemistry Letters」掲載論文