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研究成果 山内和人教授が未来創造発明奨励賞を受賞

物理学系専攻の山内和人教授が、未来創造発明奨励賞を受賞しました。

全国発明表彰は、大正8年、科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まり、以来、日本を代表する幾多の研究者・科学者の功績が顕彰されてきました。多大な功績を挙げた発明、考案、又は意匠、あるいは、その優秀性から今後大きな功績を挙げることが期待される発明等が表彰されています。

この中でも「未来創造発明奨励賞」は、未来の社会を創造するにあたり、実施効果を挙げている、又は今後大きな実施効果を挙げると期待される発明等を対象としています。

応募案件の名称『ナノ集光X線ミラー作製のための超精密測定法の発明』
山内和人、石川哲也、大橋治彦、津村尚史
大阪大学、 (国研)理化学研究所、 (公財)高輝度光科学研究センター、 (株)ジェイテックコーポレーション

山内教授が取り組むのは、X線を使った顕微鏡の開発です。
X線は通常の光に比べ、原子レベルの小さなものを捉えることができる分、波長が短いため、 “凹凸のないミラー” が必要でした。今回、山内教授がそのミラーの表面の凹凸を測定するシステム構築を行ったことが、受賞につながりました。

山内教授は2000年頃から、この「X線集光ミラー」の開発を通じて、兵庫県の播磨科学公園都市にある理化学研究所「SPring-8」・「SACLA」の性能をフル活用するため、研究に取り組んでこられました。研究開始当初を振り返り、山内教授は「どうせなら世界一のものをつくりたかった」とおっしゃっていました。

高性能ミラーの説明…かと思いきや、ブルゴーニュ地方の地図を指して熱く語るワイン好きの山内教授

2000年の当初は研究室の中で学生とともに手作りされており、当時の顕微鏡で捉えることができたのが2~3ミクロンであったのに対し、現在は10ナノメートル以下まで到達。ミラーの凹凸は東京ー大阪間の500キロに対して5ミリの誤差にまでなりました。このミラーは現在、企業への技術移転を経て、世界最高性能を持ったミラーとして「Osakaミラー」の名で世界各国で利活用されています。

山内研究室には紫綬褒章のお祝いにたくさんのお花が届いていました!

先日はこれら山内教授の一連の業績に対して、紫綬褒章が贈られており、本賞とのダブル受賞はこれまでにない成果です。

山内教授の行ってきたことは「凹凸をなくす」という本当に細かく泥臭い(ご本人談)作業でしたが、その先につながる輝かしい成果は今後もとどまることを知らず、あらゆる産業分野にまたがっていくことが期待されます。

大阪大学HP~大阪大学としては5年連続の受賞~

全国発明表彰へのリンク

(関連リンク)
YamauchiLab_Osaka_University
SPring-8
SACLA
オプティカル事業 | 株式会社ジェイテックコーポレーション (j-tec.co.jp)
大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)のトピックス