研究成果 奥川将行助教が一般社団法人軽金属学会第43回軽金属奨励賞を受賞しました
マテリアル生産科学専攻 材料設計・プロセス工学領域の奥川将行助教が、2025年11月7日(金)に一般社団法人軽金属学会第43回軽金属奨励賞を受賞しました。
本賞は軽金属の学術または工業に関する独創性、発展性に富む業績をあげ、将来軽金属学会における活躍が期待される新進気鋭の研究者、技術者に贈られるものです。

奥川助教は、アルミニウム合金やチタン合金などの軽金属を主とする金属材料を対象とした近年注目される粉末床溶融結合(PBF)型金属付加製造(AM)において、特有の107 K/s超の高速昇温溶融・凝固現象を利用した組織制御を、実験と計算を高度に融合したデジタルツイン科学に基づく独自の視点により追究してきました。特に、PBF型金属AMをAl-Si系合金の組織制御に適用し、従来から知られている急速冷却効果に加えて、昇温速度が108 K/sを超える急速溶融過程が極めて重要な役割をもち、非平衡溶融にて残存するSi粒子が組織形成に大きな影響を与えることを、他に先駆けて見出しました。今回、この発見に基づき、急冷凝固条件と急速溶融条件を協調させることにより、高価な希少元素を添加することなく結晶粒微細化が可能となり、組織の作り分けが可能であることを示したことが、本賞の受賞に繋がりました。
高速昇温プロセスに注目したPBF型金属AMにおけるこの成果は、学術的に高く評価されるとともに、社会的にも大きく注目されています。奥川助教は優れた研究業績を挙げるとともに学会活動ならびに材料科学の進展に大きく寄与しており、今後の軽金属材料分野の発展に貢献することが期待されます。