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研究成果 前田兼成さん・大西健太郎さんが応用物理学会 先進パワー半導体分科会「研究奨励賞」を受賞しました

物理学系専攻・精密工学コース 博士前期課程の前田兼成さんと同博士後期課程の大西健太郎さんが、応用物理学会 先進パワー半導体分科会 第12回講演会において「研究奨励賞」を受賞しました。

二人の所属する渡部研究室では、第9回受賞者の中沼貴澄さん、第10回受賞者の藤本博貴さん、第11回受賞者の八軒慶慈さんに続き4年連続、しかも同研究室から2名の同時受賞という快挙です。

<発表情報>
■IA-1「希釈水素熱処理によるSiO2/β-Ga2O3 MOSデバイスの特性向上」
 前田 兼成, 小林 拓真, 原 征大, 渡部 平司
■概要
熱処理がSiO2/β-Ga2O3 MOS構造の電気的特性に与える影響を系統的に調査し、界面欠陥密度が極めて低い高品質MOS構造を実現したものです。次世代の超低損失β-Ga2O3パワートランジスタの研究開発の進展と、省エネ社会の実現に大きく貢献できると期待されます。

■IA-7 「SiO2/SiC界面発光中心の発光メカニズムと起源に関する考察」
 大西 健太郎, 中沼 貴澄, 遠山 晴子, 田原 康佐, 朽木 克博, 原 征大, 渡部 平司,小林 拓真
■概要
SiO2/SiC界面に存在する高輝度の発光中心が有するエネルギー準位とその微細構造を明らかにし、これまで未解明であった発光中心の起源とその発光メカニズムの基礎的理解を築いたものです。これは、界面発光中心を利用した量子コンピューティングや量子暗号通信の実現に向けた足がかりとなる極めて重要な成果です。

授賞式の様子(左:前田さん、右:大西さん)

<受賞者コメント>
■前田さん
この度は、研究奨励賞に選出いただき大変光栄に存じます。日頃より熱心にご指導くださる渡部先生、小林先生、原先生ならびに研究室の皆様に心より御礼申し上げます。
本研究では、低い界面欠陥密度と高い信頼性を有するSiO2/β-Ga2O3 MOS構造の実現を目指して、複数の熱処理を組み合わせる独自のプロセスを提案しました。本成果を高く評価していただき、大変嬉しく思います。本賞を励みに今後も研究に勤しんで参ります。この度は誠にありがとうございました。

■大西さん
先進パワー半導体分科会の研究奨励賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。
本研究成果は、指導教員である小林先生をはじめ、渡部先生、原先生の手厚いご指導の賜物です。この場をお借りして心より御礼申し上げます。また、日頃より多くの有益なご議論を頂きました所属研究室の皆様にも深く感謝申し上げます。
本研究では、SiO2/SiC界面における発光中心の起源解明に向け、系統的な試料水準に対する詳細な光学および電気特性評価により、発光プロセスおよびその起源について検討いたしました。
SiO2/SiC界面の欠陥については、いまだ未解明な点が多く残されています。本賞を励みとし、今後も研究の更なる発展に尽力して参ります。この度は誠にありがとうございました。

渡部研究室HP