私たちは、有機合成化学をコア技術として多様性に富んだ基礎研究を展開しています。おわん型湾曲π共役系分子「スマネン」のユニークな構造に基づく機能・性質の開拓、例えばスマネンの配列に着目したSinglet Fission活性や誘電応答などを示す有機分子の研究を行っています。また、分子が作る弱い分子間相互作用を活用して、刺激に応じて構造・機能を柔軟に変える「硬くて軟らかい」分子結晶マテリアルの開発も行っています。高分子で安定化された金属ナノ粒子触媒の開発も大きなテーマの一つです。特にナノ粒子を取り巻くマトリクスがつくる触媒環境に興味をもって研究しています。具体的には、親水性コロイド系での精密サイズ制御法や、バイオマス材料を含む様々な保護マトリクス(水酸化フラーレン、セルロースナノファイバーなど)の開発を行っています。これに加え、有機合成の研究室にも実装できるコンパクトなレーザーシステムを用いたレーザー化学の開拓や、放射光施設や電子顕微鏡を活用した触媒活性評価、構造・機能研究など幅広く展開しています。