クラウドやビッグデータといった言葉に代表されるように、情報ネットワークの成熟に伴い、情報ネットワークが担う情報伝送と伝送されたデータを加工する情報処理との融合が進んでいます。我々の研究室では、このような技術動向を踏まえた上で、平時、非常時を問わず、あらゆる状況下においてユーザーに対して適切な情報通信サービスを提供できるロバスト (頑強) な情報ネットワーク・情報システムに関する研究をしています。具体的な研究テーマは多岐にわたりますが、研究室で行っている全ての研究に対する一貫した姿勢は、確固たる理論に裏打ちされたネットワーク・システム設計法 ならびに制御法の確立を目指す、ということです。そこでは、モデリングとモデル 解析ならびに解析結果から得られた知見に基づいた、各種情報ネットワーク・情報 システムの設計法、制御手法、ならびに管理・運用手法の開発を行っています。
本研究室では、光ファイバ伝送技術と光スイッチング技術を利用して、増加の一途をたどるインターネット上を流通する情報を、より大量に、より高速に、より効率的に、より安全に伝送できる次世代ファイバネットワークの実現を目指して、デバイスレベルからネットワークレベルまでの幅広い研究開発に取り組んでいます。
本領域では、
1)異種システムを効率的に共存させるヘテロジニアスネットワーク
2)大規模同時接続・大容量通信を実現する多次元信号処理
3)即応・⾼信頼無線通信基盤によるInternet of Things (IoT)
4)大多数センサを用いた無線環境認知技術
の4つの研究テーマの要素技術を集結して、次世代ワイヤレス通信システムを統合的にデザインする研究を行っています。
近年、車や家電製品などが IoT 機器として多様・大量の情報をインターネットへ発信しており、このビッグデータの解析・利活用が次世代産業創生の鍵となりますが、その普及・発展のためには機器利用者のプライバシ保護が重要な課題となります。本研究室はビッグデータ解析・利活用でのプライバシ保護技術をはじめとするサイバーセキュリティと暗号理論の最前線を研究しています。
光通信はインターネットに代表される現在の情報社会の根幹を支える技術です。本研究室では光通信システムのさらなる大容量化・高機能化に向けた研究を行っています。具体的には、一本のファイバ伝送路で大量の情報を伝達する多重伝送技術、長距離伝送を可能とする光信号再生技術や誤り訂正技術、量子力学の原理を利用して絶対に安全な通信を提供する量子暗号通信技術、などに取り組んでいます。
本講座では、今後50年間で実現される拡張現実、自動運転、ドローンによる配達、遠隔医療、野菜工場など多種多様なアプリケーションを支える基盤技術となる次世代ネットワーク技術の研究を行っています。より具体的には、無線ネットワークにおいて同一周波数帯で通信容量を倍増させる無線全二重通信方式、無線アクセスポイントからワイヤレスでエネルギーを供給する無線電力伝送方式、電波を用いて空間の状態をセンシングするワイヤレスセンシング、超臨場感映像や拡張現実などを実現するための映像伝送方式などの研究を行っています。
デジタルツインやメタバースにみられる、サイバー空間とフィジカル空間とを融合した新たな社会が構想され、その実現に向けた研究開発が行われています。尾上研究室では、そうした社会における計算機システムのアーキテクチャ、その基盤であるミドルウェアやプロセッサの設計方法論の研究に加え、社会実装に向けたプロトタイピングや実証実験を行っています。特に現在では、国内外の企業や研究機関と連携しながらエネルギーマネジメントやスマートモビリティシステム、音響技術、医療画像解析など、幅広い研究領域を対象としています。
情報システムの大規模化・複雑化がすすむにつれて、人の諸活動が情報システムに依存する度合いは増す一方であり、その信頼性・安全性の確保はきわめて重要な社会的課題となっている。情報システムは、基盤となるハードウェア、その上のソフトウェア群、および、それらを操作する人から構成される。このような背景の元、本講座では、コンピュータシステムの中央処理装置であるVLSIの診断、および、人の中央処理装置である脳の診断に関する教育と研究を行っている。
本講座では、情報技術(IT)の核であるデータベース技術に、マルチメディア情報処理技術、モバイル・ユビキタスコンピューティング技術、センシング技術などのさまざまな要素技術を融合することによって、知的な情報システムを構築することを主要なテーマとした教育と研究を行う。本講座の多くのテーマは、新しいビジネス創出の可能性を模索するものであり、さまざまな企業や海外研究機関との共同プロジェクトとして進めている。
本講座では人間の感覚-運動メカニズムの情報科学的研究を中心に人間自身の特性を活かしたインタフェースの研究を行っています。例えば錯覚は幻覚と違い万人に生じる正常な反応で人間の特性なので、錯覚を利用すれば人間の行動を柔軟かつ自然に支援できます。そこで先進的なメカトロ技術を用いたデバイス開発・感覚提示・生体計測を行い、心理物理学に基づく評価実験や人間行動の計算モデルなどを駆使して研究を進めています。