工学研究科 > 応用化学専攻 > 分子創成化学講座

私達の研究グループでは「触媒機能を持つ分子」の特性に着目し、それを利用した新反応の開発を行っています。金属錯体触媒や有機分子触媒に構造的チューニングを施すことで、これまで実現できなかった高難度反応の実現を目指しており、(1)不斉触媒を利用したキラル分子の選択的合成、(2)炭素-水素結合の活性化を利用した機能性分子ユニット構築の効率化、(3)有機分子触媒を利用した不活性芳香族分子の化学変換を達成しています。

分子設計化学領域

有機合成と分子間相互作用を巧みに組み合わせて、人と環境にやさしく、かつ環境保全や医療に役立つ高機能材料の開発を行っています。現在、(i)水や油の中に混入した有害物質を効率よく除去できる分子認識材料の開発、(ⅱ)低分子から高分子まで様々な分子の自己組織化能を利用したマイクロ及びナノ構造体の開発と利用、(ⅲ)弱い相互作用による分子認識を利用したキラル光反応の制御、(iv)光エネルギーを高効率に利用可能な超分子マテリアルの開発と応用、に取り組んでいます。

特任研究員(常勤) ZENG Jinfeng

有機工業化学領域では、実用化を視野に入れた分子設計により高機能の新規材料を作製し、創薬や再生医療に役立つ三次元生体組織モデルの構築を目指しています。私たちの生体組織には、細胞と細胞の間に細胞外マトリックス(ECM)と呼ばれる糖タンパク質が存在し、細胞表面の微小環境を制御することで細胞の機能を調節しています。このECMの働きにインスパイアされた新規高分子材料を創製し、細胞表面の微小環境を制御することで、より生体に近い構造と機能を有する三次元組織体の構築が期待されます。

簡単な分子から、高度に機能化された化合物を合成することが精密有機合成化学の基本です。精密資源化学領域では、資源的にも豊富な典型金属の特性を生かして、従来の手法では達成できない立体および官能基選択性などを有する反応の開発を行なっています。 得られた成果は、機能性分子の合成、環境負荷低減プロセスの構築、生命工学への応用といった領域に貢献します。また、研究途上で得られた予期せぬ現象を迅速に新テーマとして設定し進めていく柔軟性を常に意識して研究を進めています。

太陽光エネルギーを利用して、水素やアルコール等の貯蔵可能なクリーン燃料を作り出す。“人工光合成”と呼ばれるこれらの反応は、実用化されれば世界のエネルギー問題が一気に解決する可能性のある究極のエネルギー製造技術と考えられています。当研究室では、生体機能の中心的な役割を果たしている“金属錯体”に注目し、人工光合成を実現するための基盤づくりに取り組んでいます。

遷移金属錯体分子は種々の分子変換反応の触媒として作用し、複数の分子から新たな分子を一挙に構築することが可能です。しかし、多数の触媒反応が開発されてきたものの、その中身(機構)の大部分はブラックボックスに入ったままでした。生越研究室では主にニッケルやパラジウムを用いた触媒反応を開発するのみならず、錯体化学の手法を駆使することにより触媒系の深部にまで光を照らすことをモットーとし、反応中間体の実証とこれを鍵とする新規触媒系の構築にも取り組んでいます。

招へい教授 雨夜 徹

有機化学を基盤として、新反応・新分子・新機能をキーワードに多彩な研究を展開しています。反応開発においては、既存の手法とは反応機構や結合の変換形式が根本的に異なる分子変換の創出を目指します。ユニークなπ共役電子系を利用する新しい機能性錯体の合成・反応に関する研究も行っています。代表的な研究課題は以下のとおりです。
1)「強い」化学結合の切断を可能にする触媒開発
2)ヘテロ原子を活用した新奇反応
3)開殻π電子系配位子を持つ錯体の合成と反応性

私たちは、生体分子や反応を生体が生きたままの状態で可視化することを目的として、化学原理に基づき設計した分子である「化学プローブ」の開発に取り組んでいます。化学プローブには、蛍光や磁気シグナルを発するスイッチ機能を組み込んでおり、そのシグナルを検出することで生体分子や生体反応を検出することが可能となります。現在、遺伝子発現や免疫現象に加え、骨粗鬆症や糖尿病に関わる生命現象を可視化する化学プローブの開発を行っております。

分子レベルにおける酵素触媒作用の解明と応用を目指して研究を行っています。主に,非ヘム金属酵素活性中心や新規な有機補欠分子属の酸化還元機能に着目し、モデル化学的研究を展開しています。さらに,得られた成果を基にして,新しい酸化還元触媒の開発や実際のタンパク質(酵素)を用いた研究にも発展させ,新しい「生命機能化学」の確立を目指しています。

反応分子化学領域

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