工学研究科 > 機械工学専攻 > 機能構造学講座

マクロな材料の示す力学的な振る舞いと、それを構成する実際の原子運動の間には、大きな時・空間スケールの隔たりがあります。私達の研究室では、材料の弾・塑性変形機構の包括的な理解を目指して、マルチスケール固体力学の観点から以下の基礎研究を進めています:マルチスケール欠陥力学のための電子・原子シミュレーション、理論に基づく数理解析、音波のマルチフィジクス非破壊観察法の開発など。

私たちの身の回りには力学的な負荷を加えると発電したり磁石になったりする機能をもつ材料が存在します。当研究室で独自に開発した音響的な手法を用いて新たな機能材料を開発し、超高感度水素ガスセンサの開発など豊かな社会の実現を目指した研究を行っています。また、マイクロ・ナノ材料の変形と破壊の振舞いの法則性を解明し、マイクロ・ナノ材料における材料力学・材料強度学の確立を目指した研究も行っています。

材料力学・固体力学を基礎とした理論応用力学の研究を行なっています。物体を形作る「形態」と物体が発揮する「機能」は相互に密接に関連しています。物体の形態・機能が時間経過と共に変化していく様子を記述するのが動力学です。これらの変化は物体を構成する要素間の非線形相互作用や、外界との相互作用を駆動力として分岐や協調的なダイナミクスとして出現します。私たちの研究室は、多層的な構造とそれらの間の相互作用のモデルの構築およびその解析を行い、さらにその理論を実証することを通じ、マイクロダイナミクスの方法論の確立を目指します。

流体中に固体粒子を含む流れは、様々な工業装置中や自然界において広く見られます。その振る舞いは、粒子群が流れ中において作る構造により、大変複雑で興味深いものとなります。本グループでは、この種の流れ現象の物理の基礎的な理解促進を進めると共に、数値シミュレーションモデルの開発や、これらに基づいた応用研究を行っています。

ナノスケールの加工には対象物質を自在に操る「手=ツール」と、その過程を的確にモニタできる「目」の選択が重要な鍵を握ります。本研究室ではナノメートルレベルの局所領域観察ができる電子顕微鏡の中でナノマニピュレータという高精度な「手」を使って、狙ったナノ構造体1個の操作や様々な変形加工を行っています。加工に伴う原子レベルの構造変化と機械・電気特性変調の相関を実時間観測から明らかにし、ナノ領域独特のダイナミクスを探索します。ナノ領域で動作する新奇機械要素やナノ領域特有の性質を生かした機能材料など、基礎と実用化を繋ぐための研究も積極的に進めています。

固体材料中の弾性波・超音波の伝搬挙動解析を基礎として、新しい材料評価技術の考案、センサ技術の開発を進めています。特に,薄板状材料中を伝搬するガイド波については、新しい数値計算技術の開発からレーザ超音波や空中超音波といった先進的な非接触計測手法の提案まで行っています。

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