工学研究科 > 電気電子情報通信工学専攻

有機エレクトロニクスデバイス領域

有機材料は柔軟性に優れるという特徴を持ち、無機エレクトロニクスでは実現困難なフレキシブル・ソフトなシステムを構築可能です。本領域では、有機材料を中心とした材料群を用いて、柔軟性という特徴を生かしたデバイスによる、新しいシステム構築を目指す研究を行っています。より具体的には、ウェアラブルエレクトロニクスやソフトロボットなどの柔軟性が望まれるシステムへ実装可能なシステム構築を目指します。

クラウドやビッグデータといった言葉に代表されるように、情報ネットワークの成熟に伴い、情報ネットワークが担う情報伝送と伝送されたデータを加工する情報処理との融合が進んでいます。我々の研究室では、このような技術動向を踏まえた上で、平時、非常時を問わず、あらゆる状況下においてユーザーに対して適切な情報通信サービスを提供できるロバスト (頑強) な情報ネットワーク・情報システムに関する研究をしています。具体的な研究テーマは多岐にわたりますが、研究室で行っている全ての研究に対する一貫した姿勢は、確固たる理論に裏打ちされたネットワーク・システム設計法 ならびに制御法の確立を目指す、ということです。そこでは、モデリングとモデル 解析ならびに解析結果から得られた知見に基づいた、各種情報ネットワーク・情報 システムの設計法、制御手法、ならびに管理・運用手法の開発を行っています。

パワーエレクトロニクス領域


現実の多くの制御システムは、制御対象である物理(フィジカル)システムとコントローラである情報(サイバー)システムが通信ネットワークを介して情報のやり取りを行うサイバーフィジカルシステムとみなせます。本領域では、システム制御理論・計算機科学・機械学習(AI) に基づいた、サイバーフィジカルシステムの設計・制御・最適化手法、ならびにそれらの成果の広範なシステムへの応用に関する研究と教育を行っています。

本研究室では、電力変換における回路動作での損失や、スイッチング動作に伴い発生する電磁雑音、損失により生じる温度上昇を評価・モデル化し、詳細に模擬した解析をベースに電力変換システムの省エネルギー化、小型軽量化、高性能化を目指しています。このためシステムで用いられているスイッチングデバイスや受動素子、実装方式等のシステムを構成する個々の要素を評価し、システムのモデル構築へとつなげています。

現在、人類社会は、温暖化を始めとする地球規模で生ずる地球環境問題に直面している。この中で、地球環境に関する様々な変数を計測するリモートセンシング技術は基盤技術であり、精確な計測や情報の抽出そして伝達は、安心安全な社会を構築する上で最も重要な課題の一つとなっている。本領域では、リモートセンシングシステムの研究開発を立脚点として、新たな計測手法の研究を通じ、基礎から応用まで、そしてハードからソフトまで幅広く研究を展開する。
また、「物事の合理的な決定」を数学的に取り扱う研究として、システム工学、数理・知能情報学、ソフトコンピューティングなどの境界領域の研究も進めており、最適化、 パターン識別、 カオス理論、 群知能技法などの開発・応用を研究している。

極限状態下のプラズマ現象を理解し、それをもとにした独自の応用展開を導くことで、宇宙物理学やプラズマ物理学を含めたプラズマ科学の分野を発展させるとともに、それをベースにした産業イノベーションにつながる研究を行っています。レーザー実験やナノ構造体の大量合成技術の開発を行うと共に、スーパーコンピューターを用いたシミュレーションを利用して現象の解明を目指します。幅広く米国、英国、フランス、ドイツ、中国、台湾、インドや核融合研、量研、レーザー研等の内外の研究機関や大学とも活発に共同研究を展開しています。

核融合エネルギーにおいて、安全かつ持続的にエネルギーを取り出すカギは適切な材料の選択とその制御法の開発にあります。我々は、多種のイオンが同時に入射し、また間欠的な熱負荷が加わる、非常に複雑な核融合プラ ズマと炉材料の現象の解明を科学的かつ工学的な視野から進めています。また、これらの知見を活かして、高気圧プラズマやヘリコンプラズマなどを用いた新たなプラズマ応用工学分野への展開も進めています。

本研究室では、「パワーレーザー技術を用いた極限状態の科学(高エネルギー密度科学)」に関する研究を行っています。高エネルギー密度科学は、レーザー加工など科学技術イノベーション創出から宇宙で起こる現象の解明などに役立つ学術研究として、世界中で注目されています。日本でも、2020年6月16日に、日本学術会議より「パワーレーザー技術と高エネルギー密度科学の量子的飛躍と産業創成」という提言が出されています。このような中で、本研究室は、レーザーによる高エネルギー密度科学の研究を通じて、持続可能な豊かな社会に貢献する研究や未知の世界を解明し未来の可能性を切り開く研究を行っています。これら研究を推進するために国内外(米、仏、独、英、伊など)機関との連携や国内外の最先瑞大型レーザー(XFELを含む)を利用した国際共同研究を行っています。

電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源プラズマは多価イオン収量が高いため、高エネルギー加速器などに利用されています。原子核物理などの理学分野、重粒子線がん治療などの生物・医学分野、更に、イオン注入、宇宙推進、バイオ・ナノ材料などの工学分野で幅広く利用されています。ECRプラズマの基礎並びに応用研究を推進するとともに、次世代を担う新しいビーム源開発に取り組んでいます。

本マテリアルイノベーション領域では、将来の環境問題と高度情報化社会の課題を解決するために鍵を握る新機能材料におけるイノベーション創出を目指し、特に新機能波長変換光学結晶、窒化物半導体結晶に関する教育と研究を行っています。私たちの研究室では、基礎研究から産学連携・ベンチャー創生による実用化までを実践することで、研究者の養成と機能性材料の研究開発による社会貢献を目指しています。

本領域では、高度情報化社会をハード面から支えるため、ナノエレクトロニクス材料の表面界面物性の解明と機能探索、ならびに次世代ナノエレクトロニクス材料として有力視されている、カーボンナノチューブ・グラフェンや他のグラフェン類似層状物質等の低次元新材料をベースとして、センシングデバイスを中心としたデバイス創製に関する研究をおこなっている。

私たちは、ワイドバンドギャップ半導体を中心とした光材料に軸足を置き、新奇な(これまでにない)物性の探索、デバイス構造やシステムの提案・創出を目指して研究を行っています。具体的には、6G向けギガビット級深紫外LED光無線通信システムや、新しい分光分析技術(ODPL分光法)の独自開発などが挙げられます。私たちは、研究開発プロセス(基礎研究から応用・製品化)を一気通貫にて実施し、革新的技術を創出し続けています。

本領域では、高齢化社会における「健康長寿を支える未来医療イノベーション」を目指し、バイオマテリアル(骨、尿路結石など)に関する教育と医工連携研究を行っています。生体内では、骨や尿路結石などは、細胞・タンパク質が活躍する舞台です。私たちは、このマテリアルに主眼を置き、レーザー技術、超音波、光計測などエレクトロニクス技術を駆使して、生体化合物結晶化のメカニズムを解明し、骨の欠損・尿路結石・血管石灰化の新規治療法や予防法の開発を進めます。さらに、生物の結晶化戦略を応用した、新しい結晶材料合成技術の開発を目指します。

本領域では、超小型・省エネルギーな未踏波長域の光源の実現による低炭素社会への貢献や、量子並列超高速情報処理システムによるビッグデータ解析や人工知能といった次世代技術の発展を目指し、種々の量子光電子デバイスとシステムの開発を行っています。半導体レーザと非線形光学素子の集積、ワイドギャップ半導体量子構造を用いた量子光源の開発、巨大光学非線形性材料の探索に加えて、これらを集約した新規システムを開拓しています。

バーコードリーダー等の光源として身近にある半導体レーザは、理論上、サイズが小さいほど高性能になる。近藤研究室では、直径が約1ミクロンの円形共振器を研究開発している。左図は作製した共振器の電子顕微鏡写真、右図は共振器内部の光分布を示す。半導体内部に閉じ込められた光が回転しながら増幅する円形共振器をフォトニック結晶によってつくりだし、その近傍に光を取り出す光導波路を設置することで、エネルギーロスのない半導体レーザをつくりだそうというアイデアだ。完成すれば通信容量を一気に今の約100倍にできてしまう夢のデバイスなのだ。

新材料・新構造・新原理を用いたデバイス・集積システムの実現に向けて、計算物理をベースとした理論的な研究を行なっています。量子デバイスにおいて原子レベルで発現する物理現象の解明から、集積システムの高性能化に至る、広い階層をまたぐ研究を行なっています。

次世代IoT社会を支える半導体集積回路(LSI)の高性能化を目指し、超低消費電力回路設計技術、環境エネルギー利用システム開拓、生体・物理センシングインタフェース技術に関する研究を行っています。 LSIチップ、デバイスの設計、試作、評価を通じて、新規LSIアプリケーションの創出を目指して研究を推進しています。

生物の脳神経系は、現在用いられているデジタル計算機とは全く異なるアルゴリズム・アーキテクチャによって、感覚情報の知的処理を実現しています。本研究室では、中でも視覚神経システムが持つ計算原理・メカニズムを神経科学の様々な研究手法により調べ、その知見を元に生体模倣型の電子デバイスシステムを開発しています。また近年では、人工視覚補綴などの医用応用を目指した神経系とのインターフェイスデバイスの基礎開発研究にも注力しています。

本研究室では、光ファイバ伝送技術と光スイッチング技術を利用して、増加の一途をたどるインターネット上を流通する情報を、より大量に、より高速に、より効率的に、より安全に伝送できる次世代ファイバネットワークの実現を目指して、デバイスレベルからネットワークレベルまでの幅広い研究開発に取り組んでいます。

本領域では、超高速ワイヤレス通信の根幹を支える伝送技術の研究を行っています。大容量多値符号化変調技術、大規模MIMO信号検出技術、超多数IoTデバイス接続技術、広帯域・低消費電力無線伝送技術、低演算誤り訂正符号化・復号技術、統計的信号処理および機械学習の無線通信システムへの応用、などについて研究しています。

近年、車や家電製品などが IoT 機器として多様・大量の情報をインターネットへ発信しており、このビッグデータの解析・利活用が次世代産業創生の鍵となりますが、その普及・発展のためには機器利用者のプライバシ保護が重要な課題となります。本研究室はビッグデータ解析・利活用でのプライバシ保護技術をはじめとするサイバーセキュリティと暗号理論の最前線を研究しています。

環境電磁工学領域

光・量子エネルギー科学研究領域[レーザー科学研究所]

我々のグループではレーザー核融合エネルギーやレーザー駆動粒子加速に関連する研究を推進しています。
(1)レーザー核融合:
 ・レーザー核融合における先進的プラズマ診断技術開発、
 ・超高強度レーザー用プラズマミラーの開発など、
 ・レーザー核融合エネルギーダイナミクス(炉設計、ブランケット、エネルギー変換)
(2)レーザー加速:
 ・レーザー駆動による電子・イオン加速、中性子発生

様々な非線形電磁現象をともなう高密度プラズマの電磁工学を大型コンピユーターによるシミュレーションと理論及び実験により開拓、特に高出力レーザーと固体ターゲットとの相互作用で発生する高エネルギー密度プラズマの流体・粒子運動、X線放射、粒子加速等の研究をしています。具体的には、超高強度・超短パルスレーザーとナノチューブとの相互作用によるプロトンビーム生成、相対論的プラズマの膨張、レーザー核融合のターゲット設計、宇宙流体プラズマ研究等をおこなっています。

 本領域では深紫外コヒーレント光を発生する高品質非線形光学結晶を開発し、Society5.0で求められている革新的なレーザー加工技術の実現を目指して産学連携研究を進めています。また、未踏電磁波のテラヘルツ波とメタマテリアル技術を組み合わせ、新しいテラヘルツデバイスの開発や物性測定、超高速分光の研究にも取り組んでいます。 (1)深紫外光発生用非線形光学結晶の開発 (2)革新的な深紫外レーザー光源の開発とその応用展開 (3)テラヘルツ工学の推進 -デバイス開発・メタマテリアルの応用- (4)テラヘルツ波パルスを用いた物性測定・超高速分光

データサイエンス・AIの研究室です。特徴は、自然現象や人間行動の根底にある因果メカニズムを解明するための数理的方法論に関する研究です。特に、介入のない観察データから因果関係を推測するための数学的方法論を研究開発し、従来の限界を超える新しい方法論体系を構築します。
また、様々な科学分野の研究者と協力して自然科学・社会科学などの基礎科学や工学・医学などの応用科学の問題にも取り組み、方法論の立場から問題の解決に貢献することを目指します。

コンピュータやロボットが人間にとって身近な存在となるには、音声を使って人と対話する機能が必須です。本研究室では、音声認識技術を用いて人間と対話するシステムの研究をしています。音声信号処理や自然言語処理、機械学習などの技術を基礎として、対話を通じた知識獲得やマルチモーダル対話システムなど、機械が人と話すことやことばの理解に関して様々な研究を進めています。

量子システム創成研究分野では、電子スピンや光子の量子力学的性質を利用した量子情報処理や、新しい光・電子・スピン材料の創製と融合に基づいたスピントロニクスの研究を行っています。高品質材料の創製から評価、そして精密な量子輸送測定まで一貫して行い、光、電子、スピンの自由度を自由に操る量子ナノ構造がもたらす新しい現象の発見を目指しています。

ミクロン・ナノ・原子スケールの目に見えない微細な世界を可視化する装置が電子顕微鏡である。本講座では、電子顕微鏡計測の最先端を切り開く様々な手法・技術の開発に取り組んでいる。世界最高加速電圧を誇る300万ボルト超高圧電子顕微鏡をはじめとする種々の最先端電子顕微鏡群を駆使し、極微物質の精密三次元計測手法の開発、レンズを用いない新しいナノイメージング手法の確立、レンズの不完全性を補った収差補正技術によるデバイス材料計測への応用、などに精力的に取り組んでいる。

研究概要
本領域は、ビヨンド5Gでの利用が期待されるテラヘルツ波工学の創成に貢献し、ナノ材料などの新規テラヘルツ機能の開拓やテラヘルツフォトニックデバイスの開発、および新規テラヘルツ計測システム技術開発を行っています。また、テラヘルツバイオセンシングの分野開拓も進めており、常に新しい課題に取り組むとともに、独自に開発したテラヘルツ計測システムを利用して、基礎科学から産業応用まで幅広い研究と独創性にあふれた研究者の育成を行い、これら研究・開発・教育成果による社会的貢献を目指しています。
主な研究テーマ
【1】テラヘルツバイオセンシングイメージング研究開発
【2】ナノ材料・ワイドギャップ半導体の超高速光・テラヘルツ波機能の探索
【3】AI・機械学習を用いたミリ波3Dイメージングシステムの開発と応用
【4】新規分析機器開発とその産業応用

レーザーサイエンス研究領域 [レーザー科学研究所]

本領域では世界最高の平均出力を発揮するパワーレーザーの研究開発を中心に、新しいレーザー材料の開発や新規レーザー発振・増幅手法、ビーム制御技術の研究を行っている。世界初のモジュール化によるオンデマンド設計可能な多目的システムを「スマートパワーレーザー」として世界に発信し、レーザー加工、蛍光分析から、レーザー加速による複合量子ビーム源(X線・イオン・中性子)あるいはレーザー核融合など、幅広い応用を目指した研究を行っている。

(1)高平均出力パワーレーザーモジュールの研究開発 
(2)新規レーザー材料、レーザー発振・増幅手法、コヒーレントビーム結合技術の研究 
(3)高繰返しレーザーによる加工および高性能光計測への応用研究
(4)スマートパワーレーザーによるサイバーフィジカルシステムの創出

複合フォトニクス研究領域[レーザー科学研究所]

先進レーザーの基盤となる情報フォトニクス用レーザー材料や非線形光学結晶、蛍光体開発などの透光性セラミックスを含め多岐にわたる研究を行っている。また、レーザー照明(先進ヘッドライト、IoT照明ステーション)、ロボットや自動運転用LiDAR、レーザーの害虫駆除(農業応用)など幅広い応用研究も行っている。

(1)光機能材料の研究 ~透光性セラミック、レーザー結晶、波長変換など~
(2)可視光半導体レーザー応用に関する研究~レーザー照明・表示、計測、給電、照射など~

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