工学研究科 > 機械工学専攻
准教授 石原 尚

人に似た姿で人の言葉を操るロボットが人の社会に多く出てこようとしています。我々自身に似た知的な存在は、良くも悪くも我々の心理に大きな影響を与えるため、この種の人工物の振る舞いは慎重に決定されなければいけません。身体の様々な動きが人にどのような印象を与えるのかを把握し、場面に即して望ましい印象となるように身体を操る仕組みを実現してロボットに搭載することが望まれます。当研究室では、機械工学を基盤としつつも心理学・情報学・医学・歯学などの分野とも連携し、表現力豊かなアンドロイドロボットの身体機構設計、仮想的心理状態を反映した動きを自動生成する動的表情合成、人の表現運動の時空間特徴の精密解析、気分や性格などの心理特性を切り替え可能なアンドロイド対人相互作用実験システムなど、アンドロイドの心理表現と印象制御に関する研究開発を実施しています。

当研究室では,機械工学・情報科学・制御工学を融合した学際的アプローチにより,新たなシステム設計の地平を切り拓きます.多様な事象に対して,情報通信,最適化,生物模倣,自律分散論,AIなどの多角的視点からアプローチし,制御の本質を抽出して,革新的な機械システムの創出を追究します.産学官連携を通じて,モビリティ,ロボット,セキュリティ,エネルギーといった社会インフラ課題の解決を目指します.

マルチスケール輸送現象領域

私たちの研究室では、物体の変形や相変態によって引き起こされる電気特性・光学特性・磁気特性の変化のメカニズムを深く理解し、実社会での問題解決に応用することを目指しています。得られた知見をもとに、変形すると電気抵抗が変化するナノ構造物などを機械工学の学問を使って人工的に創り出し、超高感度な水素ガスセンサや分子センサを開発するなど、持続可能社会の実現や医療応用を見据えた研究に取り組んでいます。

材料力学・固体力学を基礎とした理論応用力学の研究を行なっています。物体を形作る「形態」と物体が発揮する「機能」は相互に密接に関連しています。物体の形態・機能が時間経過と共に変化していく様子を記述するのが動力学です。これらの変化は物体を構成する要素間の非線形相互作用や、外界との相互作用を駆動力として分岐や協調的なダイナミクスとして出現します。私たちの研究室は、多層的な構造とそれらの間の相互作用のモデルの構築およびその解析を行い、さらにその理論を実証することを通じ、マイクロダイナミクスの方法論の確立を目指します。

乱流や多相流の諸現象、相変化を含む界面現象、伝熱および物質移動、流れと構造物との強い相互作用問題を扱い、流れをin silico (コンピューターの中)で限りなくin situ (自然のまま)に扱う物理法則に忠実な「数値実験」手法を確立するため、数値シミュレーションの方法、現象の解明と数式表現(モデリング)に関する研究を行っています。応用としては、高速車輌・航空機や流体機械のほか、生体系に関連する流れが含まれます。

固体材料中の弾性波・超音波の伝搬挙動解析を基礎として、新しい材料評価技術の考案、センサ技術の開発を進めています。特に,薄板状材料中を伝搬するガイド波については、新しい数値計算技術の開発からレーザ超音波や空中超音波といった先進的な非接触計測手法の提案まで行っています。

非線形(nonlinear)と非平衡(nonequilibrium)をキーワードとして、流体現象の解明とその機械工学への応用を研究しています。その中でもとくに、新しい流体力学のための新しい理論の創成を目指しています。

燃料電池、フロー電池などの次世代エネルギー変換デバイスの高性能化を目指し、デバイス内における化学反応と輸送現象の解明および本質的な課題の抽出と解決のための研究を行っています。

燃焼工学研究室では、高効率かつクリーンな燃焼技術に関する研究、新燃焼技術としてプラズマ支援燃焼技術、バイオマスの有効活用に関する研究、燃焼を用いた高付加価値物質の生成に関する研究に対して、非接触光学計測を用いた実験や素反応を考慮した数値解析による研究を遂行しています。

高エネルギー伝達技術の創成、省エネルギー、微小物質の移動現象制御へ貢献することを目的として研究を行っています。具体的には、数ナノメートルの半導体デバイスから核融合炉に至るまでの熱物質移動の原理を、原子・分子スケールのシミュレーションや実験により解明して、微視的なスケールから巨視的なスケールに至るまでの熱エネルギーの有効利用の拡大を目指しています。

設計工学領域では、優れた革新的なデザインを実現することを目指して、製品の開発や設計を価値・コスト・時間などについての様々な要因を総合的かつ系統的に考えつつ合理的に進めていくための理論や方法論、コンピュータ援用技術に関する教育と研究を行ってます。具体的には、Products、Process、Function & Structure、 System of Systems の4つの方向性を定め、研究テーマを展開しています。

本研究室は、『究極のものづくり・新しい付加価値の創造』をキーワードに、『世界最高水準の加工技術』・『世界初の加工技術』の創造・構築に取り組んでいます。具体的には、次世代デバイス基板の超高平坦研磨加工技術の開発、難削材の次世代切削加工システムの構築、ナノ-マイクロ構造からなる機能性表面を有する切削工具の開発、脳・脊椎外科手術における革新的低侵襲医療用工具の開発などを民間企業との共同研究のもと、積極的に推進しています。

21世紀に向けて“ものづくり”技術の高度化を達成するには、加工、計測、位置決めなどの全ての分野において、その技術をさらに向上させる必用があります。当研究室では、光を応用した精密加工・計測技術を基盤技術とした研究を中心に、“ものづくり”技術の新たな潮流を創出することを目指します。将来的には、ものづくりに関する研究、加工計測に関連する分野だけにとどまらず、光加工計測技術の環境分野への応用など、将来の日本の産業を支える基盤技術を生み出すための提案を行っていきます。

本研究室は、持続可能社会に相応しい人工物システムの在り方を構想し、地球環境、社会、経済の側面から人工物ライフサイクル、製品サービスシステムの設計方法論を体系化していきます。ベースになる学問は、設計工学、ライフサイクル工学、環境学です。

当研究室では、加齢や疾病などで心身機能に困難のある人たちの日常生活やリハビリテーションを支援するQOL(Quality of Life)テクノロジーとその周辺領域の基礎研究と応用研究に取り組んでいます。福祉分野では食事・移動・コミュニケーションの支援技術、健康分野ではフレイル予防や生活習慣病の早期発見、さらに人間拡張のためのソフトアクチュエータや感覚代行デバイスなどに関する研究開発を異分野融合で総合的に進めています。

本研究室では、制御理論、ロボティクス・メカトロニクス,学習理論,力学系理論,生物学などを駆使して、徹底的に「動くもの」を探究します。最近ではロボットと生物のロコモーション,光によるナビゲーション,量子化制御系の設計,制御工学と機械学習の融合,建設機械の自動化研究などに注力しています.本研究室では数理的な思考と実験的研究の両方を重視し,バランスのとれた研究スタイルを指向しています.

マニピュレーション(物体の操り)を中心としたロボティクス・メカトロニクスに関する挑戦的研究に取り組み,基礎理論と数値シミュレーション技術の開発,実機実験による検証に至るまでの独創的な学術体系の構築を目指しています.さらには,医歯学や食品科学と融合し,マニピュレーションならびにセンシングに関する新奇課題の創出,新奇システムの設計・実装論の構築に取り組んでいます.

バイオアクチュエータ・MEMS・ラボオンチップ・マイクロナノメカトロニクス・再生医療・創発化学をキーワードに、多くの革新的な生命機械システムを発表してきました。機械とバイオと化学を融合した、全く新しい発想の柔らかい生命機械融合ウェットロボティクス、ソフトマシン、自律機械システムを世界に先駆けて発信することを目標に、教育と研究を行っています。

宇宙機の軌道運動や姿勢運動、気球の飛翔運動の力学解析を基にした運動の安定性や制御手法の研究を行っています。燃料補給が困難な宇宙機を軌道力学を利用して効率的に軌道制御する手法の開発や、コントロールモーメントジャイロのような角運動量を有するアクチュエータを用いる場合の高速な姿勢制御方法の開発、観測用気球の3次元運動のダイナミクス解析と姿勢制御方法の開発などを、理論、実験、実機開発を通して行っています。

本研究分野では、レーザ科学と生産技術との高度な融合を目指し、レーザを活用した接合、切断、表面改質、分離・除去等の材料加工法に関する基礎研究を実施しています。レーザの効率的な熱的な利用だけでなく、光と物質との相互作用に基づく物理化学的な作用を活用し、レーザクラッディングや金属積層造形の革新的な新プロセス創出やその実用化に取り組んでいます。

安全・安心・快適な生活基盤の維持・発展に向けて、環境・生命への負荷を軽減できる材料・プロセス、ならびに廃棄物の再資源化・エネルギー再生など、21世紀の地球環境技術の基盤構築と実用化に関して、材料科学の観点から原子~ナノ~マイクロの階層的マルチスケール設計による材料の高機能化・多機能化に関する基礎学理の構築と企業との連携による実用化研究を行っています。

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