工学研究科 > 物理学系専攻

最先端科学技術の進歩には、その鍵となる機能材料の高性能化や、全く新しい機能をもった材料の創出が重要です。現在、大気圧・超高周波プラズマの物理的・化学的特性を活用した低温・高速・高品質・エコクリーン成膜技術の開発と、高性能太陽電池、薄膜トランジスタ、高感度センサ等、新機能デバイスへの応用技術の研究を行っています。

極限精度のものづくり技術を実現するためには、固体と液体、及び、固体と気体(プラズマなど)の界面における相互作用を原子・分子レベルで理解し、サイエンスに基づいて制御することが不可欠です。当研究室では、原子配列が可視化できる顕微鏡や表面数原子層に感度を持つ表面敏感な分光分析法、量子力学に基づく高精度シミュレーションを駆使して、超精密な表面計測の研究を行います。また、新奇のエッチング現象を活用した高性能半導体ナノ材料の創出や、新しい表面プロセスの開発にも取り組んでいます。これらにより、生産技術の飛躍的な高度化、さらには、クリーンで快適なエネルギー利用社会の実現に貢献したいと考えています。

量子計測領域研究室では、独自の光・超音波計測技術を用いて物質科学・生命科学の幅広い分野にまたがる研究を行っています。1つの重要なキーワードは共鳴です。共鳴現象においては、力学情報・電磁場情報が増幅されるため、通常では観測できない重要な物質内部の情報を得ることができます。音(超音波)で光を制御し、また、光で音を制御して、独自の共鳴計測装置を開発し、ナゾの多いナノ物質や生体分子のキネティクスの本質を探求しています。また、独自の計測技術を基として、携帯電話等の通信機器に使用される次世代音響電子デバイスの研究や、診断・創薬に貢献する光・超音波医療機器の開発を行っています。

当研究領域では、原子・分子の世界を実際に観察・操作することから始まり、特に有機分子を操ることにより、ナノメートルの世界で「ものづくり」を制御することを目的としています。また、小さな世界のさまざまな現象に伴う、微小な物理・化学量を精緻に計測するための新しい装置を開発し研究を行っています。一方で、得られた知識をもとに、新しい概念に基づいた新規なデバイス開発にも取り組んでいます。

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特任教授 植村 寿公
特任准教授 松井 翼
招へい准教授 松山 智至
招へい教員 井上 陽登

科学は、みえなかったものがみえるようになったときに大きく進歩します。我々が追究する「原子スケールの表面創成」はその進歩に貢献するコア技術です。当研究室では、プラズマ中の活性分子や溶液中の活性ナノ粒子を駆使することで、誤差 0.5 ナノメーターの精密さで理想の形状をつくり、その表面を世界で最も滑らかにすることに成功しました。原子レベルの確かさを持つ X 線ミラーや半導体基板表面をつくる技術を確立しました。X 線ミラーは、ナノ構造や細胞を観察できる X 線顕微鏡や、天文学を進展させる X 線宇宙望遠鏡に搭載され、科学の新たな扉を開いています。

より高性能な半導体デバイス、有機デバイス、高効率太陽電池、燃料電池等、新しい材料を作るには物質中の電子や原子の振る舞いを詳しく知る必要があります。しかしながら、実験的にそれらを調べることは困難な場合が多いです。そこで、我々は物理法則にもとづく精度の高いコンピューターシミュレーションを行うことで、物質の中の電子や原子の振る舞いを観察し予測することを行っています。量子力学の原理に基づく独創的な電子状態計算手法やシミュレーションプログラムを開発し、スーパーコンピューターを駆使して、物質の電気的・磁気的な性質や固体表面上での触媒反応の進み方など明らかにしています。それによって、新しい物質やプロセスを設計する指針を与えるとともに、実験グループと共同して理論的予測の実証を行い、産業、エネルギー、環境といった社会を支える分野に寄与することを目指しています。

人類は、資源・エネルギー、食料と人口、気候変動・自然災害、都市化と貧困などの地球規模の課題に直面しています。それらを乗り越えて持続可能な社会を築くためには、人と人の絆、そして人と自然との共生を大切し、問題解決に希望をつなぐテクノロジーの発展が求められています。サステナブル社会の実現と価値ある未来のために、私たちは材料そのものの設計から、異種材料の組み合わせや新構造の採用によって、革新的な機能を発現するデバイスの創製を目指し、幅広い見地から次世代のグリーンナノエレクトロニクスを支える研究開発を進めています。

革新的ナノスケールのイメージング技術の開発を進めながら、ナノ物質に発現する特異な物理・化学現象の探索と解明を進めている。具体的には、光誘起力顕微鏡を用いて、分子の電子遷移の誘起分極パターンを画像化し、光と物質の相互作用の本質に迫る研究を推進している。また、固体表面で発現する新奇な触媒反応の解明と探索を進めている。さらに、低消費電力・超高速なバイアスの開発に不可欠な半導体界面の散乱中心や界面電荷をナノメートルの空間分解能で可視化・解析する技術の開発を進めている。

ナノマテリアル領域では、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンなどの構造を思いのままに操る成長技術の開拓や、将来のナノデバイス応用に向けた新規機能を引き出す研究を進めています。そのための基礎となるナノ構造形成過程の背後にひそむ表面現象について原子レベルでの理解を進め、自己組織化によるナノ構造形成の研究へとフィードバックしていきます。さらに、これらナノ構造体が持つバルク材料とはまったく異なるユニークな物性を活用して、新機能ナノデバイスへと応用展開を図ります。

ナノスケールの試料を光を使って観察することは大変魅力的です。光は直接的に物質と相互作用するので、構成分子について多彩な情報を得ることができます。本研究室では、ナノスケールの空間分解能で分光測定を行う手法を開発しています。プラズモニクスと近接場効果を、ラマン散乱やフォトルミネッセンスといった分光法を組み合わせると、ナノの世界を可視光で見ることができます。

特任教授 セカット ズヘア
特任准教授 山中 真仁
特任助教 ドビノー ステファニー
特任助教 久保 俊貴

藤田研究グループは、光と分子・イオン・原子との相互作用を駆使して「ナノの世界を観る・操作する」ナノフォトニクス技術を研究しています。さらにナノフォトニクス技術を活用し、常識を覆すイメージング技術・センシング技術・デバイスの開発や、その材料科学、バイオメディカル分野での応用も展開しています。

本領域では、自然界に存在しないナノ物質の創製と、それらナノ物質で発現する新奇物理現象の解明、さらにナノ物質を用いたデバイス創出への応用研究を展開しています。具体的には、固体表面上に作製した原子レベルの厚さ・太さの2次元・1次元ナノ物質中に閉じ込められた電子の特異な振る舞いを観測し、その起源を解明しています。研究は、我々が開発・高度化した学内の装置に加え、国内外の放射光施設なども積極的に利用することで進めています。

本研究室ではプラズモニクスやメタマテリアルの基礎研究を通じて革新的なナノフォトニックデバイスの実現をめざしています。 メタマテリアルでは2次元のメタマテリアルであるメタサーフェス(メタ表面)の研究を行っています。これは金属ナノ構造体や高屈折率誘電体をミー共振器として平面基板上に配列させたものです。メタ原子の散乱と吸収を制御することで、回折限界分解能を示すカラー印刷、完全吸収体や赤外線エミッターなど多様な機能を実現することに成功しています。また、プラズモニクスではプラズモニック導波路やハイパボリックメタマテリアルの研究を行っています。これにより、回折限界のために原理的に不可能と思われていた超微細かつ低消費電力のフォトニックデバイスの実現を目指しています。また、メタサーフェス完全吸収体を熱輻射フィラメントに応用し、黒体輻射を制御した高効率エコ電球のプロトタイプを実現しました。

先駆的な光操作・光計測技術群を駆使し、新奇な物質・生命機能を探求しています。
❶レーザーによる秩序構造形成の自在制御:レーザーの物理的作用(熱・電場など)により分子や原子の集合・配列を自在制御し、従来法では得られない構造・形状・サイズ・機能を有する革新的材料(エレクトロニクス素子、医薬品、人工細胞など)の創製を目指しています。
❷ソフトマターの特異な構造・機能の解明:系の引力・斥力バランスを乱さない非侵襲な光計測技術を駆使し、膜、ゲル、細胞組織(オルガノイド)などの柔らかい物質群に特異な構造や機能を調べています。

先端物性工学領域(小野研究室)では、X線・中性子線などの量子ビームとインフォマティクス技術を組み合わせた先端計測・解析技術開発を行っています。材料の構造や物性をマルチスケールで解明するためのX線顕微鏡観察、機械学習を用いたデータ解析、ロボットによる実験の自動化、AIによる計測の最適化などに取り組んでいます。

透過型電子顕微鏡(TEM)を中心に新しい計測技術の開発、ならびに新しい概念に基づく先導的機器開発を行い、バイオから無機材料に至る様々な材料の局所領域の構造、組成、電子状態の解析、ならびに表面・界面における反応素過程や新しい機能発現のメカニズムを原子・分子スケールで明らかにする研究と教育を行っています。

人類は、資源・エネルギー、食料と人口、気候変動・自然災害、都市化と貧困などの地球規模の課題に直面しています。それらを乗り越えて持続可能な社会を築くためには、人と人の絆、そして人と自然との共生を大切し、問題解決に希望をつなぐテクノロジーの発展が求められています。サステナブル社会の実現と価値ある未来のために、私たちは材料そのものの設計から、異種材料の組み合わせや新構造の採用によって、革新的な機能を発現するデバイスの創製を目指し、幅広い見地から次世代のグリーンナノエレクトロニクスを支える研究開発を進めています。

准教授 李 艶君

半導体光触媒は、有機物に対する高い分解機能や光励起親水化機能などの
セルフクリーニング機能を有し、様々な環境浄化に重要な役割を担う。しかし、その反応機構については未解明な部分が多く残されている。原子間力顕微鏡を
駆使して、光誘起表面キャリアの挙動や光触媒プロセスなどの解明を進めている。このような研究は、従来の触媒にはない、新しい機能を持った触媒設計の開発や新しい物性を持った新奇材料の発見に結びつくものと考えています。

ナノテクノロジーとバイオロジー、さらにフォトニクスを融合したナノ・バイオフォトニクスと呼ばれる研究分野の開拓を行っています。金属ナノ粒子、金属ナノクラスター、半導体量子ドットなどのナノマテリアルに代表されるナノテクノロジー、赤外分光やラマン分光など分子を分析・識別する振動分光法、超短パルス光を用いる非線形フォトニクスを駆使し、細胞や生体分子を超高感度・高分解能でセンシングする技術の研究・開発を行っています。

特任教授 民谷 栄一
特任准教授 植村 隆文
特任助教 野田 祐樹
特任研究員 根津 俊一
特任研究員 飯田 博一
特任研究員 秋山 実邦子
特任研究員 大田 裕
招へい准教授 和泉 慎太郎
招へい准教授 吉本 秀輔

本研究室では、多様性に富む、有機材料の分子構造、電子状態、物性を高度に制御し、フレキシブルエレクトロニクス、フォトニクスへと昇華させていくための基礎科学と先端技術の融合科学を研究しています。数学や物理学などの基礎科学に根ざした学術から実社会に貢献するシステムまでを学ぶことをモットーにしています。

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